千葉大、AI支援内視鏡の上部消化管がん発見率向上を実証 約5万人データで分析

千葉大学は5月20日、AI(人工知能)支援システムを活用した内視鏡検査の胃がん発見率の高さを実証したと発表した。大規模健診施設で上部消化管内視鏡検査を受けた約5万人のリアルワールドデータ(RWD)を解析した。AI導入後は胃がんの発見率が0.10%となり、導入前の0.03%を上回った。

研究では、2021年4月から2024年3月までの3年間に上部消化管内視鏡検査を受けた4万9980人を対象に、AI支援システム導入前後で比較した。AI導入前の「非AI群」は3万2318人、導入後の「AI群」は1万7662人で、「傾向スコアマッチング法」を使って、1万7662組を抽出して解析した。傾向スコアマッチング法は、観察データから一定の項目をそろえて対象者を抽出することで、対象群に対する調査対象の効果を公平に見る方法。

AIの有無による胃がん発見率、胃・食道がんの陽性的中率の比較
AIの有無による胃がん発見率、胃・食道がんの陽性的中率の比較

分析の結果、胃がんの発見率はAI群で約3倍に上昇した。生体検査を行った症例のうち実際にがんと診断された割合を示す「陽性的中率」も、胃・食道がん合計でAI群4.84%と、非AI群2.16%を上回った。AI群で見つかった胃がんは非AI群よりもサイズが小さく、特に10㎜以下の小病変の検出が多かったという。

検査時間はAI群7.22分、非AI群7.37分だった。AI導入によって、AI群の検査時間はわずかに短縮しており、AI導入が負担増にならないことも確認した。

千葉大は、AI支援内視鏡が上部消化管がんの早期の確実な発見につながる可能性があるとみて、今後は住民検診や職域検診への展開、術者経験を補う教育ツールとしての活用に取り組む。また、食道がんなど、ほかのがん種での有効性検証も進める。