九州がんセンター、ユビーの医療AIで業務効率化 初診カルテ入力10分短縮 国立病院機構で初

九州がんセンター(福岡市)

Ubie(ユビー、東京・中央区)は7月2日、九州がんセンター(福岡市)が、医療機関向け生成AI(人工知能)ソリューション「ユビー生成AI」を導入し、記録業務や事務業務を効率化したと発表した。初診カルテ入力の時間を1患者当たり平均10分短縮。議事録作成では労力を70%削減した。国立病院機構(NHO)で医療特化型生成AIの活用は初という。

九州がんセンターは、がん専門病院として高度な医療を提供しながら、職員の記録業務や事務作業の負担軽減に取り組む。医師の働き方改革によって時間外労働の上限規制や、タスクシフト・シェアの推進が求められる中、患者に向き合う時間を確保するため、「ユビー生成AI」の導入を決めた。

「ユビー生成AI」は、院内の保護された電子カルテネットワーク内で動作する。入力データはAIモデルの学習に再利用されない仕様で、医療機関の情報管理に配慮して運用する。
九州がんセンターでは、「医師事務作業補助者による初診支援」「退院サマリー作成」「インフォームドコンセント(十分な説明と同意)・カンファレンス記録作成」「議事録作成」で活用する。

「医師事務作業補助者による初診支援」は、医師事務作業補助者が紹介状(診療情報提供書)から初診時カルテの下書きを自動生成する運用を確立した。1患者当たりの入力作成時間を平均22分から12分に短縮した。月間の新患約300件で換算すると、月に約3000分、約50時間の業務時間を創出できるという。

「退院サマリー作成」では、電子カルテと連携したAIを使い、下書きの作成に活用する。この機能によって、日々のカルテ記録に埋もれがちだった患者の声が漏れなく抽出されることを確認しており、時間短縮に加え、質の高い情報引き継ぎにつながった。

「インフォームドコンセント・カンファレンス記録作成」では、患者へのインフォームドコンセントやカンファレンスの録音データから、カルテ用記事案を数分で生成するワークフローを院内で確立し、看護師がメモを取る必要がなくなり、患者に向き合う時間を確保できるようになった。

「議事録作成」は、会議音声からの文字起こしと議事録素案の自動生成に利用し、数時間から数日かかっていた議事録作成時間を1時間以内に減らし、労力を70%削減した。

導入にあたっては、独自の利用規程とガイドラインを策定。AIの出力は下書きとし、最終確認は必ず医療職が行う原則を院内で徹底した。国立病院機構本部のセキュリティー規程に対応したデータ連携の仕組みも整備し、電子カルテの前日分データを毎日午前1時に自動連携する環境を構築した。

今後は、今回の取り組みで得た知見をもとに、段階的に使用権限を拡大し、病院全体での活用を進める。また、国立病院機構の先行モデルとして、活用事例や運用方法を全国のNHO病院に共有・展開する。