NTT・NTTドコモビジネス・医学書院、医療AI情報プラットフォームを実証 ユビーの生成AIと連携
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(左から)爪長美菜子・NTT執行役員研究開発マーケティング本部アライアンス部門長、早坂和晃・医学書院常務、森崎裕・NTT東日本関東病院院長補佐・医療DX推進室室長、阿部吉倫・ユビー共同代表取締役、福田亜希子・NTTドコモビジネス執行役員ビジネスソリューション本部ソーシャルイノベーション部長
NTT、NTTドコモビジネス、医学書院は11月5日、開発した医療特化型AI(人工知能)基盤「医療AI情報プラットフォーム」の実用化に向けた共同実証を、ユビー(東京・中央区)と開始したと発表した。NTT東日本関東病院(東京・品川区)で実証する。医学書院の医学・医療情報を参照し、根拠や出典とともに回答する生成AIの利便性や信頼性、安全性を検証する。
「医療AI情報プラットフォーム」は、医学書院の医学・医療情報と、NTTのAIや通信、セキュリティー技術を組み合わせて構築した医療特化型AI基盤。外部の情報を検索・参照して回答を生成するRAG(検索拡張生成)を活用した、根拠や出典を示す仕組みを備える。

実証では、AIのユーザーインターフェースに、ユビーの医療機関向け生成AIサービス「ユビー生成AI」を利用する。「医療AI情報プラットフォーム」と「ユビー生成AI」を連携する。AIモデルはユビーが採用するグーグルの「ジェミニ」を使用する。

医師が診療中に生じた疑問をユビー生成AIに入力すると、医療AI情報プラットフォームが医学書院の医学・医療情報から関連情報を検索・参照して回答する。回答とともに、診療ガイドラインや治療のエビデンスなど、根拠となる情報や出典も提示する。引用元の医学書院のコンテンツから電子書籍を閲覧することもできる。
AIは電子カルテ端末から直接利用が可能。医師などが別の端末や院外のサービスに切り替えることなく必要な医療情報を確認できる。
NTT東日本関東病院では、10ほどの診療科から選ばれた約20人の医師が日常の診療業務で利用する。実証を通じて、医療情報の検索時間や回答内容、根拠情報の有用性・信頼性、操作性などを検証する。
また、医療現場での導入・運用に必要な機能と条件、医療AIの社会実装に向けた制度・運用上の課題も確かめる。実証期間は11~12月を予定する。

爪長美菜子・NTT執行役員は、5日の記者会見で「信頼できるAIは、信頼できる知識、安全な基盤、医療現場の実装パートナーの3つがそろって初めてできる。今回の実証で得た知見を、ほかの医療機関にも展開していきたい」と話した。

阿部吉倫・ユビー共同代表取締役は「医学書院の知識の信頼、NTTドコモビジネスの基盤の信頼、我々が現場の信頼に貢献し、日々の診療で使われる生成AIを実現したい」と述べた。
森崎裕・NTT東日本関東病院院長補佐・医療DX推進室室長は、「日本の医師が築き上げてきた医療データや知見は世界に誇れるものだ。医学書院が蓄積してきたデータをもとにしたAIを研修医や初学者、地域で働く医師が使えるようになれば、日本全体で治療を受ける人にとってプラスになる」と期待感を示した。
NTTでは、医療現場では生成AIの活用が広がる一方、事実と異なる情報を生成するハルシネーション(幻覚)や患者情報の取り扱いが課題になっているとみている。「医療AI情報プラットフォーム」では医学書院のコンテンツを活用することで医療情報の正確性を担保する。

早坂和晃・医学書院常務は「日本の医療ガイドラインを踏まえ、第一線の医師・研究者をはじめとする先生方に企画、執筆、校閲のプロセスで力添えいただいており、内容の正確性と信頼性を担保している」と語った。
NTTによると、海外の調査では過半数の医療従事者が病院未承認の汎用AIを業務で利用しているという。また、NTTが汎用AIの誤回答を調べたところ、約6割が日本の診療ガイドラインに沿っていなかった。そのため、日本の診療ガイドラインや医療制度に沿わない回答を生成する可能性があるという。

福田亜希子・NTTドコモビジネス執行役員ビジネスソリューション本部ソーシャルイノベーション部長は「AIのトラストが非常に重要になる。ハルシネーションを防ぐガードレールやAI自体のセキュリティー、AIがなぜこの回答を出したのかを追跡できるAIガバナンスなどを組み合わせ、安全な医療AIの社会実装を進めたい」と強調した。
3社は実証で得た知見をもとに「医療AI情報プラットフォーム」の機能を高め、運用方法を整備し、ほかの医療機関や医療AIサービスにも展開する。導入時には、クラウドや閉域ネットワーク、オンプレミスなど、医療機関ごとで異なるシステム環境やセキュリティー要件にも対応する。
NTTでは、医学書院の書籍データを学習させた医療特化型LLM(大規模言語モデル)「tsuzumi(つづみ) 2」の開発も進めており、NTTドコモビジネスのネットワークやシステム基盤などと合わせた提供を計画する。2027年4月からの提供を目指す。
将来的には電子カルテや医療機関向けサービスと連携し、医療情報の検索・確認をはじめ、幅広い医療従事者の業務支援につながる基盤に成長させる考え。