インテュイティブサージカル、ロボット手術の利用拡大へ 教育・遠隔支援で普及後押し

インテュイティブサージカルの最新手術支援ロボット「ダビンチ5」

インテュイティブサージカル(東京・港区)は6月3日、メディア向けの事業説明会を開き、ロボット支援手術の最新動向と、今後の日本市場での展開を説明した。2026年度の診療報酬改定で内視鏡手術用支援機器加算が新設されたことを受け、同社の手術支援ロボット「ダビンチ」の普及拡大や、手術実施施設の集約化、外科医教育、遠隔支援などへの取り組みを紹介した。

今回の診療報酬改定では、一定の要件を満たすロボット支援手術に「内視鏡手術用支援機器加算」として1万5000点が新設された。対象は主に悪性腫瘍手術などの45術式。内視鏡手術用支援機器を使った手術の年間症例数が200例以上であることなどが要件になる。あわせて、腹腔鏡下直腸切除・切断術では、内視鏡手術用支援機器を使用する場合の点数が通常の腹腔鏡下手術よりも3500点高く設定された。9つの新規技術も認められた。

瀬戸泰之・国立がん研究センター中央病院病院長
瀬戸泰之・国立がん研究センター中央病院病院長

説明会で講演した瀬戸泰之・国立がん研究センター中央病院病院長は、ロボット支援手術について、先進的な医療から標準治療の一部へ移行しつつあるとの見方を示した。2026年度の診療報酬改定で新設された、ロボット手術に対する1万5000点の加算は、高額医療機器を効率的に活用し、質の高いロボット支援手術を症例が集まる施設に集約する政策的な意味があると説明した。

滝沢一浩・インテュイティブサージカル社長
滝沢一浩・インテュイティブサージカル社長

滝沢一浩・インテュイティブサージカル社長は、日本市場での今後の方針として、ロボット支援手術を実施する施設の増加、ロボット支援手術の比率向上、外科医教育への早期導入、良性疾患への適用拡大、ロボット支援気管支鏡システム「Ion Endoluminal(アイオン・エンドルーミナル)」の薬事承認取得、遠隔手術実施に向けた検討などを挙げた。

日本では2025年末時点で、インテュイティブサージカルの手術支援ロボットは、870台以上が稼働している。また「ダビンチ」のトレーニングを修了した医師は1万1600人を超えた。同社では、普及を加速するため、東京、大阪、福岡のトレーニングセンターや藤田医科大学を通じて、年間3000人のベーシックトレーニングを実施できる体制を整えたという。

一方、日本でのダビンチ手術は悪性腫瘍が84%、良性疾患が16%を占める。一方、米国では良性疾患が74%を占める。滝沢社長は「日本でも今後、良性疾患への適用拡大が進む」と説明した。

「ダビンチ」を活用した遠隔手術支援ツール「インテュイティブテレプレゼンス」も紹介した。同機能は、「リモート症例見学」と「リモートメンタリング」を備える。「リモート症例見学」は遠隔地からの手術見学が行える機能。「リモートメンタリング」は、遠隔地の外科医が、執刀する外科医の手術指導などを支援する機能。遠隔地から映像と音声で双方向にコミュニケーションできるため病院と専門施設をつなぐ連携基盤としての活用を見込む。

平能康充・埼玉医科大学国際医療センター院長補佐・消化器病センター長
平能康充・埼玉医科大学国際医療センター院長補佐・消化器病センター長

説明会で講演した、平能康充・埼玉医科大学国際医療センター院長補佐・消化器病センター長は、「最新機種『ダビンチ5』は安全性、教育、持続可能性を高める基盤になる」と話した。

「ダビンチ5」は、鉗子(かんし)の先端にかかる力を術者の手元に伝えるフォースフィードバック機能や、手術中の動作をデータとして記録するケースインサイト機能を備える。平能院長補佐によると、埼玉医科大学国際医療センターの検証では、フォースフィードバックの感度を高めることで組織を引く力が減少する傾向がみられたという。

平能院長補佐は「手術中の力のかかり方を可視化・記録できるため、熟練医の暗黙知を教育に活用し、若手外科医の育成や手術品質の標準化につなげられる」と話した。

インテュイティブサージカルは今後、ロボット支援手術を実施する病院の増加や手術件数の拡大を狙う。滝沢社長は、国内で約700病院が「ダビンチ」を導入しており、その約半数の病院が診療報酬改定でのロボット手術の加算を受け、手術件数を増やす意向を示していると説明。一方で、そのためには実施体制や若手教育、情報発信などが課題になっていると指摘した。

こうした背景から、同社は「ダビンチ5」などの製品に加え、外科医教育、遠隔手術支援、手術データ活用も提供することで、手術支援ロボットの普及を後押しする考えだ。