九大、NTTドコモビジネスなどとIOWNで手術支援ロボット遠隔操作を実証 110km離れた病院間で微細血管縫合

九州大で開発中の開発中のマイクロサージェリー用手術支援ロボット

九州大学は9月16日、日本外科学会、F.MED(エフメド、福岡市)、NTTドコモビジネス(旧NTTコミュニケーションズ)、NTTイノベーティブデバイス、セラン(東京・千代田区)と、約110km離れた九州大学病院(福岡市)と九州大学病院別府病院(大分・別府市)を光通信基盤「IOWN APN(アイオン・エーピーエヌ)」で接続し、マイクロサージェリー(微小外科)用手術支援ロボットの遠隔操作を検証する実証実験を開始すると発表した。期間は2026~2027年度の2年間。微細な血管の縫合操作と、手術映像を使った遠隔指導を検証する。

九州大学病院と別府病院をつなぐ遠隔操作実証のイメージ
九州大学病院と別府病院をつなぐ遠隔操作実証のイメージ

マイクロサージェリーは、手術用顕微鏡を使用し、直径1mm以下の血管や神経、リンパ管などを縫い合わせる外科手技。がん切除後の再建手術や、切断した指をつなぐ手術などで用いられている。

実証では、エフメドが開発した手術支援ロボットを遠隔操作できる仕様に改良し、九州大病院から別府病院に設置したロボットを操作する。

遠隔操作では、糸や血管壁の質感を見分けるために非圧縮映像を伝送し、ロボット操作には往復0.005秒以下の応答が求められるという。6者は、光信号を使って低遅延・高速大容量通信が可能な「IOWN APN」を活用することで、高速応答の可能性と必要な通信品質を確かめる。

2026年度は、NTTドコモビジネスの通信サービス「docomo business APN Plus(ドコモビジネス・エーピーエヌ・プラス)」を使用し、映像伝送の基礎検証を行う。2027年度には手術支援ロボットの遠隔操作の検証を計画する。

遠隔指導では、九州大が開発し、特許を取得したアノテーション技術を活用する。指導医が手術映像に描いた線やマークが、臓器の動きや画面の拡大に合わせて追従する仕組みで、手術中の具体的な指示を支援する。

遠隔指導には通常のインターネット回線を使用し、専用の光回線を必要としない。2027年度には接続をより簡単にする機能も開発する。

実証の実施体制
実証の実施体制

九州大が全体を統括し、日本外科学会はガイドラインとの整合性や責任の整理、保険適用を協議する。エフメドは遠隔操作に対応する実用機の開発と薬事承認申請を行う。

NTTイノベーティブデバイスは、映像伝送装置「MediaRouterX(メディア・ルーター・エックス)」などを提供する。NTTも技術協力する。セランは、映像伝送や双方向の音声通信、電源操作を一体化した装置の実装を担う。

実証は、総務省の「令和8年度地域社会DX推進パッケージ事業(先進的通信システム活用タイプ)」に採択され、実施する。6者は、専門医の知見の共有や外科医の教育・育成を支援し、地域による医療格差の解消を目指す。