医用工学研究所、医療特化AIで電子カルテのテキスト分析 データ整備一部で工数最大99%削減

医用工学研究所(東京・千代田区)は10月27日、KDDIの「大阪堺データセンター」に構築した医療特化AI(人工知能)モデルを活用し、電子カルテ由来の医療ビッグデータ分析の高度化を開始したと発表した。電子カルテに記録されたテキストデータをAIで処理し、分析可能な形式への変換を効率化する。事前検証では、対象としたユースケースのデータ整備の一部工程で最大99%の工数削減を確認した。

電子カルテには、検査結果や投薬情報などの構造化されたデータに加え、患者の症状経過や状態の変化、投薬理由、治療方針の変更理由などがテキスト形式で記録されている。こうした情報は診療実態の把握に役立つ一方、医療機関ごとに記載方法が異なり、医療用語の表記ゆれもあるため、複数施設のデータを横断的に分析するには多くの手間がかかっていた。

今回の取り組みでは、KDDIの大阪堺データセンター内のセキュリティーを確保した環境で医療特化AIモデルを活用し、電子カルテのテキストデータを解析する。情報の整理・分類や表記ゆれの補正など、従来は人手を要していたデータ整備工程をAIが処理し効率化する。

医用工学研究所では、今回の取り組みで、これまで十分に活用できていなかった電子カルテのテキストデータ分析の範囲を広げ、患者の状態や治療経過など診療実態の詳細な把握につなげる。

同社は2023年にKDDIと資本業務提携を締結し、全国80を超える協力医療機関と連携して電子カルテ由来の医療ビッグデータを蓄積・分析している。2026年10月時点で二次利用可能なデータは約700万人分に達しており、2026年度末までに約1000万人分への拡大を目指している。

今後は医療特化AIモデルで分析可能なデータの種類や範囲を広げるとともに、医療機関や大学などの研究機関、製薬企業との連携を強化する。連携を通じて、既存の治療法では十分に対応できていない医療ニーズの把握などに活用する。

また、KDDIと共同で、医療ビッグデータ、AIモデル、分析基盤、計算環境を一体的に利用できる「医療用垂直統合型AIサービス」の提供を目指す。