東大・NTT東日本・日本IBM、デジタル病理画像の長期保存データ基盤を検証

東京大学とNTT東日本は6月30日、日本IBMのストレージ技術を活用し、デジタル病理画像などの大容量医療・研究データを長期間安全に保存・活用するデータ保存基盤の検証を7月下旬から開始すると発表した。

3者は、東大とNTT東日本が2023年から進めてきた「リモートバイオDXプロジェクト」の新たな取り組みとして実施する。

3者が検証するデジタル病理画像の長期保存データ基盤の概要
3者が検証するデジタル病理画像の長期保存データ基盤の概要

具体的には、東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野の牛久哲男教授の知見を生かし、病理標本をデジタル化した高精細な病理画像データなどを使用し、長期保存、検索・取り出し、将来的なAI(人工知能)解析・再解析、研究利用を想定したユースケースを検証する。

NTT東日本は、インターネットを経由しない閉域ネットワークによる安全なアクセス基盤とデータ基盤を構築する。データ暗号化や利用頻度に応じた階層別保存、医療情報システムに求められる関連ガイドラインへの対応などを含め、医療・研究分野での安全性、運用性、経済性を検証する。

日本IBMは、超高密度テープストレージ「IBM Storage Deep Archive」を提供する。同ストレージは、アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のアーカイブ向けクラウドストレージインターフェース「S3 Glacier API」の互換機能を備えた超高密度テープストレージ。

標準的なラックサイズで最大61PB(ペタバイト)の超高密度アーカイブが可能で、テープストレージならではの低消費電力性や物理的なエアギャップによるサイバーレジリエンス(回復力)も備える。NTT東日本が日本で初めて導入しており、今回は大容量データの長期保存の信頼性、運用性、コスト効率などを確かめる。

病理分野では、病理医が一人しか在籍しない「一人病理」の医療機関も多く、診断業務の負担増加や人材不足が課題になる中、病理標本をデジタルデータ化し、遠隔診断やAI解析に活用する「デジタル病理」の導入・活用が進んでいる。

一方で、病理画像は極めて高精細で大容量のデータとなる。デジタル病理の普及に伴い、医療機関や研究機関が保存すべきデータ量は今後さらに増える見通しで、大容量の医療・研究データを長期間、安全で効率的に保存し、将来的なAI解析や再解析、研究利用につなげる基盤整備が重要になっている。

3者は今後、今回の検証で得た知見をもとに、デジタル病理分野で病理画像データの長期保存や将来的なAI解析、研究利用を支えるデータ保存基盤としての有効性を継続的に検証する。また、病理分野で得た知見を、ほかの画像診断データや研究データの保存・活用へ応用することも検討する。