富士通・ソフトバンク・三井住友FG、健康・医療データを連携 国産ヘルスケア基盤構築へ

(左から)宮川潤一・ソフトバンク社長執行役員兼CEO、中島達・三井住友フィナンシャルグループ執行役社長グループCEO、時田隆仁・富士通社長CEO

富士通、ソフトバンク、三井住友フィナンシャルグループ(FG)は5月19日、個人の健康データと、電子カルテなどの医療データを連携させる国産ヘルスケア基盤を共同で構築すると発表した。AI(人工知能)を活用し、健康管理や受診などを支援する個人向けアプリも提供する。10月をめどに事業活動を始める。2035年までに4000医療機関への導入と6000万人規模の利用を目指す。

3社が構築する健康・医療データを連携させる国産ヘルスケア基盤(三井住友フィナンシャルグループの会見資料)
3社が構築する健康・医療データを連携させる国産ヘルスケア基盤(三井住友フィナンシャルグループの会見資料)

データプラットホームは富士通が開発する。富士通が国内でデータを管理するソブリン(主権)クラウド上に構築する。電子カルテシステムを手がけてきた知見を生かし病院ごとに分断されている医療データを標準化する。同社のLLM(大規模言語モデル)「Takane(タカネ)」の医療情報に特化したモデルを活用し、電子カルテなどの医療データを構造化して整備する。また、個人の同意に基づいて取得した健康データを管理・連携する。時田隆仁・富士通社長は記者会見で「個人起点の医療へパラダイムシフトを起こす」と述べた。

国産ヘルスケア基盤で提供する個人向けアプリのイメージ(ソフトバンクの会見資料)
国産ヘルスケア基盤で提供する個人向けアプリのイメージ(ソフトバンクの会見資料)

ソフトバンクは、個人向けアプリを開発・提供する。アプリは、歩数や睡眠時間などの健康データと、電子カルテや処方・服薬、検査などの医療データを組み合わせ、生活習慣の改善や受診を支援する。例えば、1日の歩数が3200歩、血圧が高めの利用者の場合、「プラス15分歩いてみましょう」と促す。食事で糖質・揚げ物が多めで、糖尿病の病歴がある利用者には「食事バランスを意識しましょう」と助言する。

宮川潤一・ソフトバンク社長は「アプリを普及させるためにインセンティブは必要。LINEやPayPayを総動員する。PayPayポイントを有効活用してユーザーを獲得したい」と話した。

三井住友FGは、スマートフォンアプリで提供する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」を通じ、2026年3月にソフトバンクとの提携で提供を始めたヘルスケアサービス「Oliveヘルスケア」と連携する。将来的には、「Oliveヘルスケア」を新アプリに置き換えるか、新アプリの機能を取り込むことも検討する。また、「Olive」の利用者を中心に、サービスの普及と利用者の拡大に取り組む。

中島達・三井住友FG社長は「SMBCグループの顧客基盤を生かしてサービスを届ける。国民的取り組み、国民的サービスに昇華させることを目指す」と語った。

医療データの活用を巡っては、国が電子カルテや健診結果などの情報を医療機関間で共有する「全国医療情報プラットフォーム」の構築を目指している。個人はマイナポータルで健康診断結果などを閲覧できる。3社は、公的基盤との連携も視野に入れている。富士通の時田社長は「国が進める情報基盤には参画している。われわれと国とで取り組みがバラバラになっているとは考えていない。一緒にできればと期待している」と説明した。

日本の医療費は増加を続けている(ソフトバンクの会見資料)
日本の医療費は増加を続けている(ソフトバンクの会見資料)

背景には日本の医療費の増加がある。医療費は2000年の30兆円から2023年には48兆円に増えた。2040年には70兆~80兆円規模になるとの予測がある。3社はデータ基盤とAIの活用で、将来的に5兆円規模の医療費抑制を目指す。今後は日本IBMやNECなどの電子カルテシステムベンダーやヘルスケア事業者の参加も積極的に呼び掛けていく考えだ。

ソフトバンクの宮川社長は、医療費抑制について「相当難易度が高い。3社でできるとは考えていない。ただ、官民合わせて取り組む時期に来ている。そのために一石を投じた」と話した。