カケハシ、外来がん患者向けPHR活用フォローアップシステムを実証 約900症例で有用性検証

薬局向けシステム開発のカケハシ(東京・港区)は7月6日、日本医療研究開発機構(AMED)の採択事業で、外来がん薬物治療中の患者を継続的にフォローアップする基盤システムを開発したと発表した。開発完了に伴い、システムを活用した臨床研究プロジェクト「PRO-MISE Trial(プロミス実証)」を本格始動し、6月末から参加病院で対象患者の登録と実証運用を開始した。

今回の事業では、PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)を活用し、病院、薬局、患者をデジタルで接続し、外来がん薬物治療中の患者を継続的にフォローアップする仕組みを構築した。カケハシは、患者フォローアップシステム「Pocket Musubi(ポケットムスビ)」で培った基盤を活用した専用システムを開発した。システムによって、通院と通院の間に起こる症状変化や副作用を早期に把握し、適切な医療介入につなげ、外来治療中の「医療接点の空白期間」の解消を目指す。

開発したシステムでは、患者に症状などを尋ねる質問を1週間に一度、自動送信する。回答結果はレポートとして医療機関に送付され、病院側も一元管理できる。病院と薬局の情報連携を促進し、双方の業務負担を軽減する。的確な早期介入につながり、患者の重症化や予定外入院の防止が見込めるという。

カケハシによると、入院中心から外来・在宅医療への移行が進む中、通院時以外の患者の状態を医療者が把握しにくいことが課題になっており、患者のアドヒアランス(主体的に治療を継続する状態)の低下や、副作用の兆候把握の遅れにより、重症化や予定外入院のリスクが高まる可能性があるという。

また、特に外来がん薬物治療では、副作用や体調変化への早期介入が重要になるが、医療現場の人手不足が進む中、限られた人員だけで継続的な患者フォローを行うことは負担が大きく、人手に頼らない新たな仕組みが求められているとしている。

カケハシでは、こうした課題解決に向け、開発したシステムを活用し、「PRO-MISE Trial(プロミス実証)」と名付けた実証実験を開始した。

「PRO-MISE Trial(プロミス実証)」の概要
「PRO-MISE Trial(プロミス実証)」の概要

「PRO-MISE Trial」は、PHRを活用したがん薬物治療中の患者向けモニタリングとフォローアップ基盤の社会実装を目指す実証実験。約900症例をそれぞれ24週間モニタリングし、ePRO(電子患者報告アウトカム)の有用性を検証する。大規模な多施設共同型のPHR検証として、社会実装に向けた信頼性を確保する。8~10カ月間で約900症例のデータ収集を目指す。

システムの活用により、患者の回答結果をもとに的確な早期介入につなげる。重症化や予定外入院の防止にも役立てる。病院、薬局、患者の間で情報連携を進めることで、通院期間中も医療が継続的につながる状態を目指す。

今後は、外来がん薬物治療におけるPHR活用の臨床的妥当性を検証し、患者が治療を継続しやすい環境づくりにつなげる。また、薬局や医療機関を含む関係者と連携し、医療提供体制の支援を進める。さらに、実証で得たデジタル連携基盤やモニタリングの仕組みを、多様な疾患領域へ展開することも目指す。