ファストドクター、AIを活用した在宅医療の診療報酬算定BPOサービス 作業時間75%削減

医療支援プラットホーム運営のファストドクター(東京・渋谷区)は9月10日、グループ会社のクラウドクリニック(同)と、AI(人工知能)を活用した在宅医療の診療報酬算定のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)システム「AI BPO型業務システム」を開発したと発表した。AIと専門スタッフが連携して算定から医事会計システムへの登録まで行い、1カルテ当たりの算定作業時間を従来比で約75%削減した。

「AI BPO型業務システム」は、従来のBPOにAIエージェントや業務システムを組み込んだシステム。算定業務は、AIエージェント、ルールエンジン、専門スタッフが連携して進める。ルールエンジンは、事前に定めた制度上のルールに基づいて判定を行う仕組み。

システムでは、AIエージェントが医師の自由記述を含む診療記録を読み取り、訪問種別、診療時刻、傷病名、施設種別など、算定に必要な情報を抽出・構造化する。

次に、ルールエンジンが診療報酬制度に基づいて算定候補と根拠を生成。最後に専門スタッフが内容を確認、修正、承認する。承認後は、算定内容を医事会計システムに自動で登録する。

「AI BPO型業務システム」の仕組み
「AI BPO型業務システム」の仕組み

算定結果をAIだけに委ねず、どの情報とルールを根拠にしたかを専門スタッフが確認できる形で提示する。確認・修正履歴を蓄積し、制度ルールや情報抽出の精度向上、医療機関ごとの運用に合わせた調整に活用する。

個人情報や医療情報は保護に配慮した環境で処理し、AIモデルの学習には利用しない。同社によると、対象範囲を限定した一部医療機関での検証では、システムが提示した算定候補と専門スタッフの確認結果が全件一致したケースもあったという。

また、クラウドクリニックのサービスを利用する医療機関は、システムによる生産性向上で、相場価格の半額水準で診療報酬算定業務を外注できると説明する。その結果、業務面と費用面の双方で医療機関の負担軽減につながり、医師や看護師、事務スタッフが診療や患者対応に充てる時間を確保できるようになるとしている。

ファストドクターによると、在宅医療の診療報酬算定では、同じ訪問記録でも患者が自宅で一人暮らしをしているか、複数の入居者がいる施設に入居しているかによって算定点数が異なる。同じ月の診療履歴や訪問種別など、複数の情報を照合する必要があり、2年ごとの診療報酬改定への対応も求められているという。

医療事務業務を外部委託するBPOは有効な手段だが、在宅医療の算定は専門性が高く、医療機関にとって委託費用が負担になりやすいという。そこで両社は、従来のBPOにAIエージェントや業務システムを組み込み、専門スタッフとAIが連携することで、算定業務の生産性向上と委託費用の抑制を図るサービスを開発した。