フィリップス、睡眠時無呼吸症候群を巡る制度改定を解説 検査・CPAP治療のハードル下がる
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(左から)安部美佐子・フィリップス・ジャパン社長と村丘寛和・クリニックフォアグループ会長・医師
フィリップス・ジャパン(東京・港区)は9月2日、9月3日の「睡眠の日」を前に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見・治療と新たな受診導線をテーマにしたメディア向けセミナーを都内で開いた。セミナーでは、クリニックフォアグループ会長で医師の村丘寛和氏が、SAS診療の現状を解説した。
冒頭で、安部美佐子・フィリップス・ジャパン社長は、同社が2008年に睡眠・呼吸領域の機器を手掛ける米レスピロニクス(ペンシルベニア州)を買収し、SAS領域に参入した経緯を説明した。

安部社長は、国内でSASの潜在患者が900万人を超えるとされる一方、治療者は100万人未満にとどまり、SASを知っていても受診行動につながらないことが課題と指摘。「早い気づきが健康やウェルビーイングにつながる。イベントを通じ、一人でも多くの人が受診という行動に移ることを願っている」と述べた。

次いで、村丘医師が登壇した。同氏によると、日本の30~69歳で無呼吸低呼吸指数(AHI)が15以上の中等症以上に該当する人は推計940万人。これに対し、CPAP(持続陽圧呼吸療法)による治療を受けている患者は約73万人で、8%弱にとどまるという。村丘医師は「治療法は確立し、保険も適用され、効果もはっきり出る。それにもかかわらず届いていない」と強調した。
クリニックフォアグループの対面による保険診療では、SASの月間受診者数が2020年7月から2026年6月までに約8倍に増えたという。村丘医師は「患者が増えたのではなく、潜在患者が顕在化している」と分析。中等症以上のSASは30~60代の約7人に1人が該当するとし、平日日中の通院や入院検査の負担が、働き盛り世代の受診を妨げてきたと説明した。

村丘医師は2026年6月に「睡眠障害」を内科や精神科などの基本診療科名と組み合わせて標榜できるようになったと説明した。また、2026年度の診療報酬改定では、CPAPの保険適用に関するAHI基準を、終夜睡眠ポリグラフィーによる精密検査で20から15、簡易検査で40から30に引き下げたと話した。その上で「対象者が増えたのではなく、入院せずに治療へ到達できる人が増えた」と制度変更の意義を説明した。

受診の入り口はオンラインと対面の2通りで、問診・スクリーニング後に自宅へ検査機器を配送し、普段の就寝環境で検査できる。検査結果に応じて精密検査やCPAP治療に進む。ただ、実施方法は患者の症状や検査結果、医療機関の体制などで異なり、対面診療や入院検査が必要になる場合もある。クリニックフォアグループでは、SASの保険診療は現状ほぼ対面で、オンライン診療は自由診療が中心という。

会場では、村丘医師が指や手首などにセンサーを装着する簡易検査機器、脳波や鼻の気流などを測定する在宅精密検査機器、CPAP装置を説明した。CPAPは鼻などに装着したマスクから空気を送り、睡眠中に気道がふさがるのを防ぐ。装着感などに応じて、医師と相談しながらマスクを変更することもできるという。
村丘医師は最後に「いびきや呼吸停止を指摘されたら、一度相談してほしい」と呼びかけた。オンライン診療や在宅検査、制度改正によってSAS診療の入り口が広がりつつある。フィリップスでは、今後も疾患への気づきを実際の受診・検査、治療につなげる取り組みを続けていくとしている。