富士通Japan、クリニック向け電子カルテに生成AI音声入力 SOAP形式で記録自動作成
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富士通Japan(川崎市)は7月23日、クリニック向けクラウド型電子カルテシステム「HOPE LifeMark-TX Simple type(ホープ・ライフマーク・ティーエックス・シンプルタイプ)」で、生成AI(人工知能)を使った音声入力オプションサービス「生成AI音声入力」の販売を開始したと発表した。医師と患者の会話をリアルタイムに文字起こしし、SOAP(主観、客観、評価、計画)形式の診療記録を自動生成する。システム利用者向けに8月31日以降に提供を開始する。2028年3月末までに100件の導入を目指す。

「生成AI音声入力」は、医師と患者の会話音声をAIが自動でテキスト化し、カルテ入力の主流形式の一つであるSOAP形式に自動変換する機能。PCのマイクを使って音声を入力する。

SOAPは、主観的情報、客観的情報、評価、計画を整理して診療記録にまとめる形式で、会話内容からカルテ記載に必要な情報を効率的に作成できる。生成AIの音声入力で電子カルテへの入力負荷を軽減し、医師が患者との対話に集中できる環境を提供する。

兵庫県神戸市の阿部クリニックが試験運用でサービスを導入した。1990年に開院した内科・循環器内科の診療所で、月間延べ450人程度、多い日で約50人を診察する。同院は患者との対話を重視する診療スタイルを維持しながら、紙カルテから電子カルテへの移行と診療記録の充実が課題となっていた。
同院では紙カルテから電子カルテに切り替えたタイミングで「生成AI音声入力」を導入し、初診患者には必ず使用して患者との会話を記録するようにした。再診患者でも、体調変化や生活上の重要な情報がある場合には積極的に活用する。「生成AI音声入力」によって、会話内容を詳細に記録できるようになり、医師間の情報共有や引き継ぎの円滑化につながっているという。
富士通Japanによると、開発時の検証では、5分の会話であれば約10秒で要約を自動生成できた。音声認識の精度を示すWER(単語誤り率)は約12%で、一般的に言われる15~20%を下回った。医学用語や方言にも対応しており、会話内容を医学的な文脈に合わせて整理できる点もクリニックから評価されたという。

阿部クリニックの阿部仁院長は「話した言葉がリアルタイムで文字起こしされ、SOAP形式でカルテに自動変換される手軽さに驚いた。これなら、患者さんに顔を向けたまま、会話の内容を詳細に記録できる」と話している。
阿部昌巳医師は、「紙カルテ時代は診療記録が要点の記述にとどまり、患者を引き継ぐ際に詳細を確認する必要があった。音声入力により記録が充実し、カルテを読むだけで診察状況を把握しやすくなった」と述べている。
政府は「医療DX令和ビジョン2030」で、遅くとも2030年にはおおむね全ての医療機関で、必要な患者の医療情報を共有するための電子カルテ導入を目指すとしている。一方、診療所での電子カルテ普及率は55%にとどまり、未導入の診療所ではITへの抵抗感や電子カルテ操作の習得が課題になっている。
富士通Japanは、こうした課題の解決に向けて、AI技術を活用した電子カルテシステムの音声入力オプションを開発した。生成AI音声入力を通じて、診療所の電子カルテ導入を後押しする。