HITOTSU、生成AI搭載の医療安全インシデントレポートシステムを開発
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医療ITスタートアップのHITOTSU(ヒトツ、東京・渋谷区)は7月7日、医療安全・インシデントレポートシステム「ResiLIA(レジリア)」を10月1日に正式リリースすると発表した。同社の医療機関向けチャット「Link(リンク)」と連携し、生成AI(人工知能)を活用してインシデントレポートの入力や再発防止策の検討を支援することで、院内共有や医療安全管理を効率化する。
「ResiLIA」は、医療事故やヒヤリハットの報告、分析、共有、再発防止策の検討までを扱えるシステム。日本医療機能評価機構が持つ、全国の過去15年間のインシデント・ヒヤリハット情報約17万件を学習した生成AIを搭載。過去事例をもとに、状況に応じた設問や選択肢を提示する。自由記述の負担を減らしており、医療従事者が短時間で分かりやすい報告を作成できるようにした。

AIは、選択・入力内容をもとにレポートのドラフトも自動生成する。作文が苦手な職員でも、短時間で内容を整理した報告を作成できる。医療安全管理専従者やセーフティーマネジャー向けには、自院の事故発生傾向を分析し、全国データとの比較や重点施策も提案する。

再発防止策の提案にもAIを活用。過去事例をもとに、選択内容に合った具体的な再発防止策の候補を提示する。報告者が「実施できた」「実施しなかったが実施すべきだった」と振り返る仕組みを組み込んでおり、個人の医療安全レベル向上と、組織としての再発防止策の立案・実行を支援する。

「Link」との連携では、レポート提出と同時に、AIが作成した150字程度のサマリーを指定したチャットルームへ自動投稿する。専従者による共有作業を減らし、管理者や所属長、医療安全委員会メンバーが必要な情報を早く確認できるようにした。
報告後の深掘りやヒアリングもチャットで行える。対面や電話に依存していたやり取りをテキスト化し、「言った、言わない」によるコミュニケーションエラーの防止につなげる。サンクスメッセージやリアクションスタンプにより、報告者をねぎらう仕組みも用意し、懲罰的になりがちなレポート提出の心理的負担を軽減する。
医療安全委員会向けには、グラフ作成などの集計業務も支援する。チャットで事前資料を送付すれば、会議の時短やペーパーレス化が図れる。院内の全職員の時間的・心理的負担を減らしながら、インシデントやヒヤリハットの報告数を増やし、継続的な医療安全サイクルを構築できるという。
2015年10月の医療事故調査制度の発足以降、予期せぬ死亡に至る医療事故は、年間300~400件にも上る。
ヒトツでは、重大事故を未然に防ぐには、現場のヒヤリハットや軽微なインシデントを漏れなく収集し、実効性のある再発防止策につなげることが重要だが、医療機関ではインシデントレポートの報告数が十分に集まらないことや、報告が再発防止に生かされにくいことが課題になっていると指摘する。
また、自由記述が多い旧来型のシステムでは、報告に時間がかかり、心理的負担も大きく、専従者が全レポートを確認してサマリーを作成し、管理者や医療安全委員会に共有する作業にも多くの手間がかかっているという。
同社はこうした課題解決に向けチャットと連動し1つのシステムで医療事故やヒヤリハットの報告、分析、共有、再発防止策までカバーするサービスを提供することにした。
今後は、「ResiLIA」と「Link」を組み合わせた医療安全基盤の確立を進める。「ResiLIA」のデータを活用した医療安全に関するコンサルティングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の展開、保険会社やモバイルキャリアとの協業、電子カルテとのシステム連携による患者情報の取り込みなども視野に入れている。