慈恵医大柏病院、搬送ロボットが検体・薬剤搬送を代替 年間330時間超の業務削減
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東京慈恵会医科大学附属柏病院が導入した搬送ロボット「KEENON W3(キーノンダブリュースリー)」
配膳・清掃・搬送ロボットを展開するDFAロボティクス(東京・港区)は8月4日、東京慈恵会医科大学附属柏病院(千葉・柏市)で運用する搬送ロボット「KEENON W3(キーノンダブリュースリー)」が、内科外来、外来化学療法室、薬剤部の検体・薬剤搬送を代替し、年間330時間を超える業務時間を削減したと発表した。
東京慈恵会医科大学附属柏病院は、病床数664床、1日あたりの外来患者数が1300人を超える地域の中核病院。築40年を迎える施設の構造上、空気圧で物品を運ぶ気送管システムが設置されておらず、職員が検体や薬剤、医療物品を歩いて運んでいた。
そのため、看護師や看護補助者が優先すべき業務を中断して搬送に対応する必要があり、身体的な疲労だけでなく、精神的な負担も生じていた。搬送には1日あたり約1~3時間かかり、慢性的な人手不足に悩む現場を圧迫していた。

同院は、この課題解決に向けて、「KEENON W3」を2025年6月に本格導入し、「キャリー」の愛称で運用を開始した。ロボットは、朝には救急室・病棟から中央検査室への検体を搬送、日中は内科外来から中央検査室へ採血スピッツやPCR・抗原検体、尿を運搬、薬剤部から外来化学療法室への抗がん剤や前投薬の搬送の3ルートで稼働している。
内科外来から中央検査室への搬送は1日4~9回で、1日あたり約20分40秒~64分30秒の業務時間を削減した。薬剤部と外来化学療法室の間では1日5~15回運用し、約45分30秒~107分30秒を減らした。合計では1日あたり約66分10秒~172分となり、試算では年間330~860時間に相当するという。
同院で「キャリー」を利用する職員36人を対象に6月4~8日にオンラインアンケートを実施。86%が「歩き回る・運ぶといった移動負担が減った」、72%が「精神的な負担や身体的な疲労・ストレスが軽減された」と回答した。
また、86%が「本来の専門業務に使える時間や集中できる環境が増えた」と答えた。削減した時間は、患者のケアやサポート、看護師からの突発的な依頼への対応、次の業務の準備などに充てていると回答した。アンケートの回答者は看護師22人、看護補助者5人、薬剤師9人だった。
加えて、ロボットの動きや「キャリー」の名前に関心を持った患者や家族との会話も生まれているという。林由美看護部長は、「『キャリー』をきっかけに現場で笑い合えるようになったことが何よりうれしい変化。生み出された時間で何をするかを考え、患者さんにとってよりよい看護実践を実現する」と話している。
同院では、今後、現在のワンフロアでの運用に加え、複数階をまたぐ搬送や他部署での活用を進め、病院全体の業務最適化につなげる考え。