シェアメディカル、医療AI基盤「MediLine Engine」発表 生成AIの実行範囲を制御
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医療ICT(情報通信技術)事業のシェアメディカル(東京・千代田区)は9月16日、医療AI(人工知能)プラットホーム「MediLine Engine(メディライン・エンジン)」を発表した。生成AIが医療業務で実行できる範囲を外部から制御し、電子カルテなどの医療システムと安全に接続するための共通基盤としての提供を目指す。
「MediLine Engine」は、生成AIのモデルの外側に制約、実行統制、検証、監査の仕組みを設ける「医療AIハーネス」と呼ぶ設計思想を採用した。AIが持つ能力に応じて自由に処理させるのではなく、個々の医療業務で何をしてよいかをあらかじめ定義し、その範囲内でAIを動かす。
AIの出力だけでなく、ポリシー(方針)、使用したAIモデル、データ、ツール、結果を生成した経路を後から確認できるようにした。監査を単なるログ保存ではなく、AIの実行過程を検証する独立した機能として組み込む。
AIモデル側には医療業務を実行するために必要な能力の下限を設定する一方で、AI機能側には許可する推論範囲の上限を設定した。高度な医学的推論能力を持つAIでも、設定した範囲を超えて診断、予後予測、治療提案などを生成しないよう制御する。
また、個々の医療業務をAI機能として定義する「FaaP(ファンクション・アズ・ア・プロダクト)」を採用した。例えば、カルテ要約や処方薬の確認、診療情報提供書の草稿作成などの場合、入力・出力、実行条件、AIに許可する範囲などを機能ごとに設定し、生成AIや医療データ、検索、ルール処理などを組み合わせ、電子カルテなどの医療システムに組み込める。
医療AIへの接続方法は、米オープンAIの「ChatGPT(チャットGPT)」や米アンソロピックの「Claude(クロード)」などの生成AIから医療データやツールに接続する「MCP」と、電子カルテなどにAI機能を組み込む「FaaP/API」に対応した。

医療AIが業務で使用する約40種類の医療データ・ツールも用意した。医薬品情報や添付文書、安全性情報、医薬品の回収情報、診療ガイドライン、診療報酬、レセプト(診療報酬明細書)チェック、ICD-10、医療機関情報、医学論文・臨床研究情報など、診療から医療事務までをカバーする。
同社は、AI機能の作成環境「AI関数スタジオ」も開発している。専門的なAI開発の知識がなくても、実現したい医療業務を自然言語で入力し、サンプルデータで結果を確認しながら、実行条件や安全条件を設定したAI機能を作成できる環境を目指す。今後、段階的に一般開放をする計画。
「MediLine Engine」で定義したFaaPのAI機能は、すでに電子カルテベンダーで先行採用が進んでおり、組み込んだAI電子カルテは2026年中にリリースされる予定としている。