ヘンリー、正幸会病院の記録業務を生成AIの利用前提で再設計 全職種合計で月386時間を削減

正幸会病院の生成AI「Henry AI(ヘンリーエーアイ)」活用の様子

病院向けクラウド型電子カルテを手掛けるヘンリー(東京・新宿区)は6月29日、正幸会病院(大阪・門真市)と共同で、クラウド型電子カルテ「Henry(ヘンリー)」に生成AI(人工知能)を組み込み、病院の記録業務をAI前提の運用フローに再設計する実証実験を行ったと発表した。実証は4月20日から6月5日まで実施した。

今回の実証は、個別の記録作業を単に速くするのではなく、記録業務のフローそのものをAI前提で組み替え、工程を減らすことを目的に行った。医師、看護師、リハビリセラピスト、事務の業務を対象に検証した。

実証ではヘンリーの生成AI「Henry AI(ヘンリーエーアイ)」を利用した。「Henry AI」は、音声入力からサマリー生成までを単一の電子カルテ内で処理する。スタッフはカルテ画面を離れる必要がなく、カルテ内の実データと音声データをもとにAIが文書を生成する。生成後は担当者が確認・承認する運用としており、記録業務の負担軽減と正確性の両立が図れるという。

ヘンリーでは、AI機能を病院向けクラウド型電子カルテに内蔵することで、外付けアプリに移動し、コピー・アンド・ペーストで電子カルテに戻す作業を不要にした。最新のAIモデルを利用しやすいという。入力された診察データ、音声データ、生成された文書内容は、AIモデルの学習には利用せず、暗号化した状態で処理し、プライバシーを保護した環境で提供する。

実証の結果、退院サマリーでは、医師の作成時間が従来の約40分から約4分になり、約90%短縮した。看護サマリーやリハビリサマリー、事務によるサマリー作成支援でも、従来約60分かかっていた作業が約5分に短縮した。

看護ラウンド中の記録業務でも生成AIを活用
看護ラウンド中の記録業務でも生成AIを活用

正幸会病院では、これまで看護ラウンド中の記録業務で、病室で患者を観察した後、紙に看護記録やバイタルをメモし、ナースステーションに戻って電子カルテに転記していた。今回、生成AIを前提に組み替えた後には、病室で患者との会話を録音し、文字起こし中にバイタルを入力する流れに変更できた。その結果、転記や二重のメモ書きが不要になり、1件あたり約1~2分で看護記録を作成できるようになった。

同院は、AIによって全職種合計で月間約386時間の削減を見込む。内訳は、音声入力による削減が188時間、文書・サマリーAIによる削減が198時間と試算する。

ヘンリーでは今回の実証結果をもとに、中小病院で再現可能なAI前提の病院業務モデルとして展開を進める。