シーメンスと駒沢大、画像診断人材教育センター開設 診療放射線技師育成に活用

シーメンスヘルスケアと駒沢大学が開設した「画像診断人材教育センター」(東京・世田谷区)

シーメンスヘルスケア(東京・品川区)は10月15日、駒沢大学と「画像診断人材教育センター」を駒沢キャンパス(東京・世田谷区)に開設したと発表した。画像診断装置の実機を学生の教育・研究に使用し、診療放射線技師などを育成する。また、医療従事者の研修、シーメンスの機器の保守を担うエンジニアの訓練にも活用する。

小島泰道・駒沢大学理事長
小島泰道・駒沢大学理事長

小島泰道・駒沢大学理事長は15日の記者会見で、「画像診断から放射線治療までを網羅的に学べる教育拠点が、医療機関以外の場所に誕生することは、世界的にも類を見ない試みだ。日本の医療教育界の発展に大きく寄与できるよう、全力を尽くす」と述べた。

新センターは、両者が2月に締結した契約に基づき設置した。シーメンスヘルスケアによると、同社製の画像診断装置をそろえたトレーニングセンターは国内初で、同社のSPECT/CT装置を使ったトレーニング施設はアジア初という。

MRI「MAGNETOM Flow.Elite」
MRI「MAGNETOM Flow.Elite」
CT「SOMATOM go.Open Pro」
CT「SOMATOM go.Open Pro」
SPECT/CT装置「Symbia Pro.specta」
SPECT/CT装置「Symbia Pro.specta」

センターには、1.5テスラのMRI(磁気共鳴画像装置)「MAGNETOM Flow.Elite(マグネトム・フロー・エリート)」、放射線治療計画用CT(コンピューター断層撮影装置)「SOMATOM go.Open Pro(ゾマトム・ゴー・オープン・プロ)」、核医学検査に使うX線CT組み合わせ型SPECT装置「Symbia Pro.specta(シンビア・プロスペクタ)」の3台を導入した。

櫻井悟郎・シーメンスヘルスケア社長
櫻井悟郎・シーメンスヘルスケア社長

櫻井悟郎・シーメンスヘルスケア社長は会見で、「高齢化に伴って医療需要が増える一方、医療従事者の不足が課題となっている。機器の開発とともに人材育成も重要だ。装置は使ってもらう技師がいて初めて生きる。大学との共同利用を通じて、将来の診療放射線技師の育成につなげたい」と述べた。

駒沢大では、医療健康科学部の学生や大学院生が、装置の基本原理や撮影技術から画像処理・解析までを学ぶ。今後はセンターの実機で、人体の組織などを模した人体モデル「ファントム」を撮影し、撮影条件や画像再構成の条件による画質の違いを学習する。装置の操作に加え、臨床で必要となる判断力の基礎を養う。

学部・大学院で画質評価や撮影条件、画像解析の研究を深め、心理学や文化財、スポーツ科学などの分野への活用も探る。

「放射線治療人材教育センター」に設置した放射線治療装置「TrueBeam」
「放射線治療人材教育センター」に設置した放射線治療装置「TrueBeam」

同大は2018年、シーメンスヘルスケアのグループ会社のバリアンメディカルシステムズと「放射線治療人材教育センター」を設立した。治療計画装置「Eclipse(エクリプス)」や放射線治療装置「TrueBeam(トゥルービーム)」を備える。バリアンメディカルシステムズによると、これまでに2200人以上の医療従事者が同センターで実習を受けたという。

「画像診断人材教育センター」とは別の建物にあるが、ネットワークで接続することで、画像診断から治療計画、放射線治療までを一貫して学べる環境を整えた。

シーメンスは、「画像診断人材教育センター」を装置の保守・修理を担う自社エンジニアの育成にも活用する。従来はドイツや中国などの海外拠点で研修を受ける必要があり、エンジニアは英語で学ぶなどの負担があった。

新センターで日本語による研修を国内で行えるようにすることで、エンジニアの知識や技術の習得支援を充実させる。日本に加え、アジア各国の同社エンジニアの受け入れも予定する。

同社は今後、新センターでシーメンス製の装置を使う医療従事者向けの講習やトレーニングを大学と調整して実施する。駒沢大では卒業生や現役の診療放射線技師を対象とした実技講習を目指し、学会や技師会、企業との連携を検討する。