NTT西日本、三重大と医療DXで連携、LLM「tsuzumi」活用した事務作業効率化の実証開始
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西日本電信電話(NTT西日本)は11月1日、三重大学(三重・津市)と、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進で包括連携協定すると発表した。第一弾として、三重大学医学部附属病院(三重大病院)で、NTTが開発したLLM(大規模言語モデル)「tsuzumi(ツヅミ)」を使って電子カルテを要約し、医師の事務作業を効率化する実証実験を開始する。
実証では、医師の事務作業の1つである、患者の入院期間中の診療経過をまとめた「退院サマリ」の作成過程で、「tsuzumi」が生成した電子カルテの要約文章を活用することで作成業務が効率化できるかを検証する。三重大病院では、年間約1.5万件の「退院サマリ」を作成している。
NTT西日本と三重大は、電子カルテデータを基に医師自身が文章を作成するのではなく、「tsuzumi」が生成した文章を医師が確認と修正することで、作成時間を短縮しながら、最終的なアウトプットの質を落とさない業務フローの構築に取り組む。2025年3月31日まで実施する。
NTT西日本では、「tsuzumi」がパラメータサイズが70億とオープンAIの「GPT-3」の1750億よりも軽く、三重大病院内のネットワーク内に構築が容易で、患者の個人情報を外部に伝送することなく、気密性の高い環境で電子カルテを要約できるとしている。また、退院サマリ作成に特化したLLMを構築するため、追加学習を実施し、医療業界の専門用語が含まれる電子カルテの要約精度向上を図る。
実証の対象課題の「退院サマリ作成の効率化」は、三重大病院に限らず、医療機関でも恒常的に抱えている課題としており、一定の効果が確認できれば、医師の働き方改革に役立つソリューションとして、ほかの医療機関にモデル展開も検討する。今後は、実証の効果を評価し、その結果を基に退院サマリ作成業務で本格的な「tsuzumi」の適用を進めると共に、そのほかの事務作業への適用や、三重県内の医療機関への展開も見込んでいる。