TXPメディカル、川崎市北部3区で救急医療情報システム使った救急活動効率化の実証実験

TXP Medical(TXPメディカル、東京・千代田区)は11月18日、川崎市の北部の宮前区、多摩区、麻生区で、救急医療情報システム「NSER mobile」を活用した救急搬送の実証実験を開始すると発表した。

実証実験には、川崎市3区の救急隊13隊と、5カ所の医療機関が参加する。応需確認開始から病院決定までの時間短縮、医療機関内の情報共有、救急現場での運用時のデータの見やすさ、ソリューションの使いやすさを検証。検証結果を基に、TXPメディカルと川崎市は、必要な機能や運用上の課題、救急隊や医療機関の意見を抽出することで、システム導入に向けた検討を行う。

「NSER mobile」は、救急現場と搬送先医療機関間のコミュニケーションを円滑にすることで、救急対応の効率化を図るシステム。AI(人工知能)を活用し、救急車内に配備されたタブレットで、これまで電話と紙の帳票で行われていた患者情報のコミュニケーションをデジタル化することで救急医療の見える化と、搬送業務や情報共有を効率化する。事案情報入力に加え、病歴やバイタルサイン、静止画、動画情報の共有、一斉照会機能、診療科ごとの応需可否情報、応需履歴の共有、事後検証機能、OA機能などの機能を備える。

川崎市消防局によると、川崎市の救急出場件数は、2023年に過去最多の8万7591件で、前年同期で2815件(3.3%)の増加となった。これに伴い、119番通報の救急要請から現場到着に掛かる平均時間は2020年の9分から2023年は9.8分に伸びている。

川崎市では、今後も増加が予想される救急需要の対応に向け、積極的に救急活動の施策に取り組んでいたが、救急活動のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、救急隊と医療機関の連携強化と救急隊の現場活動や医療機関の受け入れ対応の円滑化を図るため、今回、実証実験を行うことにした。