ARI、横浜市立大などと、AIで全身麻酔患者の状態を予測するシステム開発

ARアドバンストテクノロジ(東京・渋谷区)は9月3日、横浜市立大学医学部麻酔科学教室(横浜市)、横浜未来ヘルスケアシステム戸塚共立第2病院(横浜市)と共同研究する全身麻酔患者状態をAI(人工知能)で予測するシステムの特許申請を7月10日付けで行ったと発表した。

研究するシステムは、麻酔患者の血圧や心拍数などの電子化された、さまざまな情報をリアルタイムでAIが分析し、今後起こりえるイベントを予測し、麻酔科医にその情報をアドバイスする仕組み。システムの活用で、特にリスクの高い手術患者の手術中の安全性と手術後の回復向上につなげることを目指す。

システム構築向け、具体的には、個人情報をマスクしたデータから属性データやバイタルデータを使って一定時間後の患者の状態予測アルゴリズムを開発する。ARIでは、倫理委員会が承認済みの匿名化した実際の手術中のバイタルサインデータを戸塚共立第2病院から受領(じゅりょう)しており、麻酔科医の指導の下で、バイオメディカル分野に精通したデータサイエンティストが分析し、試作アルゴリズムの開発を進めている。

全身麻酔患者状態のAI予測とナレッジ共有システムのイメージ
全身麻酔患者状態のAI予測とナレッジ共有システムのイメージ

将来的には、共同研究する横浜市立大などの関連医療機関でAI予測モデルを利用した実証実験を行い、実用性を検証し上市する計画。また、研修医、若手医師、周麻酔期看護師の育成に利用できるAI予測のナレッジ共有システム開発も行う。

3者は、システムが手術時に患者への医療の質を向上させるだけはなく、医療機関でも安全性を確保した手術の施行、医療訴訟のリスク軽減からも必要不可欠となるとしており、国内の医療機関で導入が進むとみている。また、今後、高齢化が進んで行く国や経済発展が進んで行く国などで、医療ニーズが増す海外医療機関へのシステム輸出も見込んでいる。