阪大、口腔がんの早期発見支援AI「Mucosight AI」が製造販売承認 8月下旬提供へ
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大阪大学歯学部附属病院(大阪・吹田市)
大阪大学は8月4日、口腔内画像をAI(人工知能)で解析し、口腔がんの早期発見を支援するプログラム医療機器「口腔粘膜画像解析システム Mucosight AI(ミュコサイトエーアイ)」が、厚生労働省の製造販売承認を取得したと発表した。一般歯科医師が患者を専門医のいる高次医療機関に紹介する判断のための所見情報を提供する。国内販売会社を通じて8月下旬ごろのサービス開始を予定する。
「Mucosight AI」は、歯科医師が撮影した口腔内画像をブラウザからクラウドにアップロードすると、学習済みのAIモデルが解析する。

対象は口腔(こうくう)がん、白板症、良性腫瘍、口内炎の4疾患。約30秒で解析し、疾患の特徴との類似性が一定以上の場合、該当箇所を枠で囲んで表示する。4疾患の解析結果は枠の色で表示する。
確定診断を行うものではなく、専門医のいる高次医療機関への受診勧奨の要否を歯科医師が判断するために活用するシステムで、解析結果を専門医への紹介状に添付することもできる。一般歯科診療に加え、訪問歯科診療での利用も見込む。
システムは、大阪大学歯学部附属病院口腔外科1の平岡慎一郎講師らが進めてきた、口腔粘膜疾患の早期発見を支援する研究を基盤に開発した。阪大が研究開発と知的財産を担い、エヌビディア(東京・港区)がAIモデルの開発や計算環境を支援し、医療機器メーカーのモリタ東京製作所(埼玉・伊奈町)が製品化、薬事対応、製造販売を担当した。
AIモデルの開発では、多施設共同研究を通じて約4万枚の口腔内画像を収集。病理診断が確認された口腔内写真を中心に、専門医が目視で品質を確認した画像をモデルの学習と検証に使用した。エヌビディアは、画像に疾患情報を付与するアノテーション作業に必要なツールを提供したほか、データの前処理手法などの助言や、AIモデルの開発支援を行った。
研究用データは、セキュリティーを確保するため、阪大内に設置したエヌビディアのGPU(画像処理半導体)搭載ワークステーションに保存した。エヌビディアの担当者が遠隔で阪大の環境にアクセスしてモデルを開発し、大規模データの処理や解析には阪大のGPU搭載のスーパーコンピューターも活用した。
阪大によると、口腔がんは口腔内を観察することで発見の手掛かりを得られる一方、初期段階では口内炎や良性疾患との判別が難しい場合があるという。
また、一般歯科診療では、口腔粘膜疾患を日常的に多数診察する機会が限られるため、口内炎と初期がんの判別が難しく、発見時に進行がんである割合が高いという課題がある。同大は、こうした課題の解決に向け、口腔粘膜画像解析システムを開発した。
今後は、現在対象とする白板症に加え、紅板症や口腔扁平苔癬などを含む口腔潜在的悪性疾患全般への対象拡大を目指す。中長期的には、口腔内画像だけでなく、CT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)、電子カルテ情報などを組み合わせたマルチモーダルシステムへの展開も視野に入れている。