高山市、移動診療車を使った「医療MaaS」の実証運行を25年1月から開始
掲載日:
高山市が導入した「医療MaaS」の車両
岐阜県高山市は12月12日、移動診療車を使った「医療MaaS(マース)」の実証運行を2025年1月から開始すると発表した。岐阜県内の自治体では初という。
「医療MaaS」は、医療機器やオンライン診療システムを搭載したモビリティ(車)で提供する医療サービス。移動診療車に医療機器や通信機器、オンライン診療システムなどを搭載し、看護師が乗車することで、遠隔地の診療所にいる医師が、オンラインでの患者の問診や、看護師に指示し診察を行う。
高山市が導入する移動診療車は、設置や取り外しが簡単に行える車載用ベッドやオンライン診療に必要な機材を収納するキャビネットなどを配置した「マルチタスク車両」。ソフトバンクとトヨタが出資するMONET Technologies(モネ・テクノロジーズ、東京・千代田)が開発した。総事業費は約3600万円。
車両には、オンライン診療システムを通じてバイタル情報をリアルタイムに医師に共有するための遠隔聴診器や血圧計、体温計などの医療機器に加え、ポータブルのエコーや心電計も搭載。プライマリケア(1次医療)に必要な最低限の医療を提供できるという。
移動診療車での診療では、看護師が移動診療車に同乗し、医師は拠点診療所からオンラインで診察を行う「D to P with N(医師が遠隔地の患者をオンラインで診察し、患者のそばで看護師が診療を補助する)」と呼ばれるモデルを採用することで、医師の移動時間のを削減し、限られた医療資源の最適化する。患者の容体などによっては、医師が同乗し直接診察を行う場合も想定している。
高山市では、2024年度は、国保診療所でオンライン診療のデモンストレーションを行いながら、実際の診療を2025年1月から高山市朝日町の秋神出張診療所で開始し、順次拡大する予定。実証運用の中で、地元住民との意見交換やニーズの把握、分析を行い、地域の公民館などの集会所を待合として活用するなど、最適な移動診療車の活用方法を検討する。