医業保全協会、「みらいクリニック大阪北浜」でICT複合活用の医院運営モデル確立
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「みらいクリニック大阪北浜」(大阪市)は、ICTを複合活用し業務効率化と質の高い医療の提供が可能な医院運営を実現
医院運営支援事業の医業保全協会(大阪市)は12月11日、6月に開院の「みらいクリニック大阪北浜」(同)で、ICT(情報通信技術)を複合活用する一次医療医院運営モデルを確立したと発表した。
「みらいクリニック大阪北浜」は、独自でシステムを開発するのではなく、LINE、クラウドサービス、電子カルテ、診療アプリなど、既存のICTツールを複合的に活用した運営体制を構築。「医療者と患者の意識改革」を掲げ、「デジタル化」と「患者導線のセミセルフ化」で、患者の待ち時間を最少にしながら質の高い診療を実現した。医業保全協会では、ICTを活用したクリニックの運営モデルを検証する施設と位置付けている。

「デジタル化」の取り組みでは、院内でしかできない処置・触診などの業務と、問診・事務・問い合わせ対応などの院外でも可能な業務を分離。在宅スタッフを活用し、後者の業務をリモートで対応する体制を築いた。
また、遠隔システムを導入し、在宅勤務する看護師が、医師や看護師などの院内スタッフの診療業務を補完する。院内対面診療とオンライン診療を組み合わせたハイブリッド診療システムを構築し、医師の働き方の多様化に対応した。
「患者導線のセミセルフ化」では、連絡手段をLINEチャットに一本化し、即時対応が必要なツールを削減する一方で、看護師などの在宅スタッフが院外から対応を支援する形にした。また、電子カルテと、セキュリティーが高いとするグーグルのクラウドサービス「Google Workspace(グーグル・ワークプレイス)」を活用し、院内・院外のスタッフが常時オンラインで音声と動画で相互接続できるようにした。
受付業務は、院内にキオスク端末を設置することで廃止。患者自身が端末を操作して受付を行うようにしたほか、来院前にウェブ上で事前問診の入力や保険証やクレジットカードを診療アプリに事前登録してもらうようにした。さらに、診療待合を全て個室ブース化して、患者が自分でバイタル(生体情報)を測定し送信する仕組みにした。
医業保全協会は、こうした取り組みによって、これまで患者が医療機関で大きく不満を感じていた「待ち時間」「丁寧な診療」「感染不安」などを解消し、医療者の課題だった「雑務の多さ」「労働力の都市偏在」を改善につながったとしている。今後は地域の事情をくみ取りながら、ICT活用のクリニックを全国展開する。また、運営ノウハウをほかの医療機関へ積極的に提供する。