恵寿総合病院、ユビーの患者の疑問や不安に生成AIが回答するサービスを実証実験
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Ubie(ユビー、東京・中央区)は9月2日、恵寿総合病院(石川・七尾市)が、生成AI(人工知能)が患者の疑問などに答えるAIサービス「AIパートナー ユビー」を導入し、患者の満足度向上と医療従事者の業務効率化に役立つかを検証する実証実験を開始したと発表した。
「AIパートナー ユビー」は、患者の健康に関する疑問や不安にAIが回答し、適切な医療情報と医療機関の案内を提供するサービス。病院関連の疑問には病院の患者説明資料などを基に回答し、病院関連以外の疑問にはユビーの医師チームが選定した、信頼性の高いコンテンツを基に回答する。一方で、医学的アドバイス、診断、治療は行わない。
恵寿総合病院では、本格的実証の前に外来患者20名を対象に病院関連の疑問や悩みについて「AIパートナー ユビー」を実際に体験してもらい、「職員に聞くほどではない小さい疑問」に対するAIサービスの対応効果の検証とアンケート調査を行った。
その結果、「質問解消度」が、5段階評価で平均4.5、「寄り添い度」は平均4.4、「友人への推奨度」は、平均4.5、「職員に聞くほどではないが、小さい疑問を聞いてみたいと思ったことがある」で平均4.1を記録。患者の疑問解消に高い効果を発揮し、医療従事者の業務負担軽減に役立つ可能性が強く示された。
同院では、この結果を受け、実証実験では対象を入院患者まで拡大し、患者の医療体験向上と医療従事者の業務効率化が両立が可能かを確かめる。具体的には、産科の外来妊婦健診と入院の患者、入院前案内、現在入院中、緊急入院の患者にサービスを提供。病院オペレーションへの負荷、患者満足度と医療従事者の業務効率化への貢献度合いを検証する。
恵寿総合病院は、実証を通じて患者の疑問や不安を生成AIで解消し、医療従事者が患者さんと向き合う時間を創出することで、医療の質向上と働きがいのある職場環境の実現を目指す。将来的には院内全体に展開し、生成AIを活用した患者の寄り添いサービスの地域医療でのモデルケースとして確立する。一方、ユビーは、実証実験で得た成果を基に、サービスの改善と機能拡充に取り組む。
神野正隆・恵寿総合病院理事長補佐は「単なる業務効率化にとどまらず、医療体験そのものを再定義する革新的な挑戦だと考えている。当院では、今回の実証実験を通じて、テクノロジーと人間味あふれるケアが融合した新たな医療モデルを創造し、地域医療の未来を切り拓いていく」と話している。