エイエムオー・ジャパン、医師監修の白内障体験できるARアプリを無料提供

「AR Eye(エイアール・アイ)」の画面イメージ

ジョンソン・エンド・ジョンソンのグループ会社のエイエムオー・ジャパン(東京・千代田区)は10月10日、白内障手術の術前と術後の見え方をシミュレーションする医師が監修した無料のAR(拡張現実)アプリ「AR Eye(エイアール・アイ)」の提供を開始すると発表した。病院で患者の診察時に利用する用途を見込む。

「AR Eye」はスマートフォンのカメラで、実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、これまで二次元シミュレーション画像では表現が難しかった、実生活での白内障の術前と術後の見え方を体験できるアプリ。東京歯科大学水道橋病院名誉教授・特任教授で医師のビッセン宮島弘子氏が監修した。

「白内障」は、加齢などで目の中のレンズの役割を果たす水晶体が白く濁って見えにくくなる病気。エイエムオー・ジャパンによると、50代で約40%、60代で約70%、70代で90%%、80代では100%%に近くの人が発症するといい、国内の手術件数は年間180万件と、最も多く行われる外科手術としている。

手術では白く濁った水晶体を吸引除去し、代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入する。挿入する眼内レンズには、1カ所にピントを合わせる「単焦点眼内レンズ」と、複数の距離にピントを合わせる「多焦点眼内レンズ」があり、手術後は視機能の改善が期待される一方、眼内レンズの種類によって見え方が異なるため、眼内レンズを挿入した際、期待した見え方と術後の見え方にギャップを感じる患者もいるという。

単焦点眼内レンズの見え方イメージ(左:遠方にピントを合わせた場合、右:近方にピントを合わせた場合)
手術後の単焦点眼内レンズの見え方イメージ(左:遠方にピントを合わせた場合、右:近方にピントを合わせた場合)
多焦点眼内レンズの見え方イメージ(左:暗い場所、右:明るい場所)
手術後の多焦点眼内レンズの見え方イメージ(左:暗い場所、右:明るい場所)

「AR Eye」では、単焦点眼内レンズ・多焦点眼内レンズのそれぞれの見え方を体験することが可能。そのため、エイエムオー・ジャパンでは、アプリを活用し、患者に日常環境下で術前に見え方を疑似体験してもらい、ライフスタイルに合った眼内レンズの選択につなげる。また、白内障患者の家族が、患者の感じる不自由さを体験し、白内障への理解を深めるツールとしても役立ててもらう考え。