浦添総合病院、Dr.JOYとAI電話の受診前相談支援サービスの実証実験 相談の約77%が完結
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浦添総合病院(沖縄・浦添市)
医療ソフトウエア開発のDr.JOY(ドクター・ジョイ、東京・港区)は3月30日、浦添総合病院(沖縄・浦添市)と、AI(人工知能)電話を活用した受診前相談支援サービスの実証実験を2025年11月10日~2026年2月27日の期間で実施したと発表した。
実証では、医療機関の電話相談で「つながらない」「取れない」という課題解決を目的に、AI電話と医療トリアージAIを連携させた受診前相談支援システムの有効性を検証した。
同時に、看護師が受電業務に追われる状況の改善や、電話対応の負担軽減、本来業務への集中、患者が症状に応じて適切な受診行動を取れる環境づくりも狙った。

具体的には、患者が電話で症状を伝えると、AIが自動応答し症状の詳細を聞き取り、医療トリアージAIが緊急度を判定するとともに、会話内容を録音し、文字起こしや要約レポートを自動生成するシステムを構築した。看護師が会話内容を確認し、緊急度の高い患者から優先的に折り返し対応した。また、高齢者の利用も想定し、医療用語だけでなく沖縄の方言にも対応した音声認識の調整も行った。
実証期間中の入電件数は753件で、うち580件が通話を完了した。通話を分析した結果、約77%の相談がAI電話のみで完結しており、AIが受診前相談の一次対応を担うことで看護師の電話対応負担軽減や患者の利便性向上につながる効果を確認した。
看護師にアンケートを行った結果、AI電話による電話対応の心理的負担の軽減に対して約43%が非常に満足・満足と答えた。AI電話受診前相談サービスの満足度では約57%が非常に満足・満足と回答した。
浦添総合病院では、これまで代表電話や予約センターからの転送も含め1日約20件の受診相談に看護業務と兼務しながら対応していた。回線は1回線のみで、相談1件あたりの平均対応時間は約5分かかっていた。
看護師は通話しながら相談内容をメモし、カルテを検索して病歴や受診歴を確認したうえで、診療予約や主治医への連絡など多岐にわたる対応を行う一方、着信が重なることも多く、患者を待たせてしまう申し訳なさや緊急度の高い患者からの電話に対応できなかった場合の不安など、精神的負担も大きい状況だった。
AI電話導入後は最大100回線の同時受信に対応し、複数の着信が同時に発生しても話中になることなく対応が可能になった。AIが症状を聞き取り、相談内容を整理したレポートを自動生成するため、通話内容は文字起こしや要約、録音で確認でき、手書きでの記録も不要となった。
その結果、電話がつながらず患者を待たせる状況が解消されたほか、看護師が事前に相談内容やカルテを確認したうえで折り返し対応ができるようになり、対応の正確性と効率性が向上。担当看護師の心理的負担の軽減にもつながった。また、AIが生成した相談記録を活用することで、これまで約3カ月かかっていた新人看護師の研修期間が約1カ月に短縮されるなど、教育面でも効果を確認したという。
ドクター・ジョイでは、今回の実証で得た成果をもとに、AI電話と医療トリアージAIを連携した受診前相談サービスの正式提供を4月から開始する。サービスは、まず沖縄県での導入を進め、将来的には全国の医療機関に展開を目指す。