ロボット支援の直腸がん手術が男性の性機能障害発生率を抑える、横浜市立大が研究発表

横浜市立大学附属市民総合医療センターは11月15日、ロボットが支援した直腸がん手術が、腹腔(ふくくう)鏡手術に比べ男性患者の性機能をよりよく保つ効果がある研究結果を発表した。

研究では、腹腔鏡やロボットを使った大腸手術を研究する学術団体「腹腔鏡下大腸切除研究会」に所属する全国の大学やがんセンター、地域基幹病院など49施設で、直腸がんで腹腔鏡か、ロボット手術を予定する70歳以下の男性患者410名を対象に、性機能アンケートを、術前と術後(3カ月、6カ月、12カ月)の合計4回を実施した。

手術アプローチ別の術後性機能障害発生率
手術アプローチ別の術後性機能障害発生率

その後、ロボット手術と、腹腔鏡手術で患者背景をそろえた上で、発生率を比較。その結果、術後12カ月の時点で、射精障害はロボットで25%、腹腔鏡は40.9%、性交障害発生率はロボットが17.8%、腹腔鏡群は29%とロボット手術群が射精障害や性交障害の発生率が低いことがわかった。

横浜市立大によると、直腸がん手術では、直腸の周囲にある自律神経が傷つくことで、男性に性機能障害が起こるといい、今回の研究結果で、男性患者に対するロボット手術の比率が増加すれば、性機能障害に苦しむ患者の減少につながるとしている。今後は、性機能障害のリスク因子解析や、年代ごとの性機能障害発生率などの副次解析も行う。