ウィーメックス、国内の遠隔妊婦検診で遠隔医療システムを初めて試験導入
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ウィーメックス(東京・渋谷区)は、10月上旬に北海道後志(しりべし)地方でリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH(テラドック・ヘルス)」を使った遠隔妊婦検診の実証実験が実施されたと発表した。
テラドック・ヘルスは、専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医をオンラインで繋げる、リモート操作可能なリアルタイム遠隔医療システム。超音波診断装置などの周辺医療機器と接続し、患者の容体を短時間で把握できる。また、遠隔地にいる医師主導で操作でき、現場にいるような情報取得を可能とする。
今回の実証実験で使用した「TV Pro 300」は、テラドック・ヘルスシリーズ最高性能のカメラ「70倍相当ズーム」かつナイトビジョンに対応。本体重量約3.5kgとコンパクトで持ち運びができ、壁や車体などに取り付けられるため様々な医療現場で活用できる。
小樽市やニセコ町がある北海道後志地方の小樽協会病院(北海道・小樽市)では、分娩対応施設が同院の1か所のみで、妊婦と医療従事者の負担が課題となっていた。同院では約2年前に電話を使った遠隔妊婦検診の実証実験をしたが、音声だけでは的確な支援が難しく、使用する超音波診断装置の違いにより現場の助産師が操作に戸惑う場面もあった。
また、スマホのカメラを使った実証実験では、遠隔地の医師が診たい部分を鮮明に確認できないことや、プローブ(超音波を発生し、超音波ビームを送受信する医療機器の部分)の操作指導が上手く伝わらないという課題があった。
そこで今回の実証実験では、小樽協会病院の専門医が、岩内協会病院(北海道・岩内群)にある「Teladoc HEALTH TV Pro 300」を通じて、超音波診断装置の画像を確認しながら妊婦検診を実施。小樽協会病院から超音波診断装置の操作に精通した助産師を岩内協会病院に1名派遣し、臨床検査技師が実施する超音波検査を支援した。
2名の妊婦を対象とした遠隔妊婦検診の結果、医師からは遠隔地の医師側で受信する超音波診断装置の画像品質の高さ、プローブの操作指導のしやすさ、妊婦からは移動負荷の軽減や顔が見られる安心感という点で高く評価されたという。
ウィーメックスでは、テラドック・ヘルスを使った遠隔妊婦検診は国内初の試み。小樽協会病院では、「今回の実証実験では、遠隔からでもエコー画像を高精度でリアルタイムに確認でき、妊婦健診を問題なく実施できた。当院の年間分娩数約300件のうち、遠方を含め市外から通院する妊婦が2割を占めている。この地域での取り組みが広がり、少ない医療資源の利活用で妊婦の負担を減らしつつ、質の高い医療を提供できる先例を築ければと考えている」(黒田敬史・産婦人科長・医療安全管理室長)としている。