富士フイルム、前立腺やWBDWIのMRI対応のAI画像診断支援プラットホーム新版を提供開始
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富士フイルムは7月31日、画像診断支援するAI(人工知能)プラットホーム「SYNAPSE SAI viewer(シナプスサイビューワ)」の新バージョン「SYNAPSE SAI viewer Ver2.7」の提供を開始すると発表した。富士フイルムメディカルを通じてが販売する。
「SYNAPSE SAI viewer」を2019年に放射線科向けに発売。その後、CT(コンピューター断層撮影装置)画像の読影支援機能を中心に機能を拡充し、MRI(磁気共鳴画像装置)画像向け読影支援機能も搭載した。
「Ver2.7」では、MRI画像で前立腺領域の読影を支援する「前立腺ビュー(MR)」と、MRI体幹部DWI画像での読影を支援する「Body DWIビュー(MR)」を新たにオプション機能で追加した。

「前立腺ビュー(MR)」は、MRIの診断基準の最新版「PI-RADS V2.1」に準拠した読影支援機能。機能の起動と同時に「PI-RADS」読影専用のダイアログが立ち上がり、自動で前立腺の体積を表示。医師が血液検査で得られたPSA値を入力すると、自動でPSA密度を算出する。

また、腫瘍計測を行うと、自動で腫瘍のサイズ、区域、側性などを表示。さらに、医師が T2WI(T2強調画像)、 DWI(拡散強調画像)、DCE(ダイナミック造影MRI)のスコアを入力すると、「PI-RADS」のカテゴリーを自動で算出する。計測情報やカテゴリー情報を使って、所見文の候補を複数表示もできる。

「Body DWIビュー(MR)」は、MRIを使った全身がんスクリーニング検査で注目される「WBDWI」の効率化を支援する機能。富士フイルムによると、「WBDWI」は、複数部位の撮像が必要で部位ごとのシリーズ結合作業(スティッチング)が必要なことや撮像部位ごとで適切なコントラストが異なり、部位ごとのコントラスト補正に手間がかかることなどが課題になっているという。

新機能ではスティッチングやコントラスト補正を自動化することで、調整作業の手間を軽減した。また、MRIの三次元セグメンテーション技術とDWI解析を組み合わせることで、骨領域のみにADCカラーマップ表示をできるようにした。
CT画像の読影支援機能も拡充。読影医からの要望が多かった、縦隔リンパ節をラベリングする「リンパ節ラベル機能」を新たに搭載した。

「リンパ節ラベル機能」は、肺がん取り扱い規約(第8版)と食道がん取り扱い規約(第12版)の2つのガイドラインで定義された縦隔リンパ節区域をラベリングできる機能。シナプスに搭載されているリンパ節抽出機能と合わせて利用すれば、解剖区域を埋め込んだスマート定型文を呼び出しが可能でレポート作成を効率化する。