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ウォルターズ・クルワー、AIで検索・分析機能を強化した臨床意思決定支援ソリューションの提供開始

「UpToDate」の画面イメージ

オランダのウォルターズ・クルワー・ヘルスは11月6日、AI(人工知能)機能を搭載した臨床意思決定支援(CDS)ソリューション「UpToDate Enterprise Edition(アップトゥーデート・エンタープライズエディション)」を、日本国内の医療機関と病院向けに提供を開始したと発表した。

「UpToDate」は、臨床現場で医師の診断を支援する医療情報サービス。医師が正確な診断を下すために参考や手掛かりになる疾患や治療法などの情報を提供する。25の専門診療分野で1万3000超わたる臨床トピックを掲載。コンテンツは、420以上の学術誌、臨床研究、診療ガイドラインを精読し作成する。

作成には、「コントリビューター」と呼ぶ、各診療科の第一人者で、臨床を行い、教壇にも立つ医師が執筆と編集を担当。コントリビューターは、約50カ国で7600人以上の医師が協力する。

世界で5万以上の医療機関が採用しており、日本でも800以上の病院が導入する。ウォルターズ・クルワー・ヘルスによると、ソリューション導入後には、誤診発生率が42%から2%に減少し、不要な検査を52%削減できたほか、臨床での判断で37%が、より最適な診断に変更する効果があったという。

AIの臨床トピック検索機能では、医師が自然な言葉や複数のキーワードで質問すると、関連トピックを正確に表示する
AIの臨床トピック検索機能では、医師が自然な言葉や複数のキーワードで質問すると、関連トピックを正確に表示する

「Enterprise Edition」では、検索と分析機能を強化した。検索機能ではAI(人工知能)を導入。これまでキーワードで行っていたコンテンツの検索を自然言語で行えるようにした。AI検索機能で自然言語や複数概念を組み合わせた質問でも、信頼性の高い専門家レビュー済みのコンテンツから正確な回答を素早く回答する。

AI搭載分析機能のイメージ
AI搭載分析機能のイメージ

一方、分析機能でもAIを活用。AIが慢性疾患と医薬品分類トピックの利用状況を分析し、コンテンツタイプ、専門分野、臨床役割などに基づいて変化と差異を特定。医療機関の組織目標や地域住民の公衆衛生戦略、ケア品質改善といった優先事項との整合性を図れるようにした。

藤堂正憲・国際事業部カントリーマネージャー
藤堂正憲・国際事業部カントリーマネージャー

利用料は病院ごとで個別に見積もる。施設単位での利用形態のため、ユーザー数は問わない。藤堂正憲・国際事業部カントリーマネージャーは、6日の記者説明会で「臨床現場で医師が診断で参照するための情報のボリュームと正確性という点で、他社にはないソリューション。今回の製品ではAIで機能を強化さし、使い勝手がさらに向上した」と自信をみせた。

「UpToDate Expert AI」のデモ画面
「UpToDate Expert AI」のデモ画面

今後は生成AIの活用も進める。米国などでは、自然言語で問いかけると、AIが「UpToDate」のコンテンツだけを参照し、自然言語で答えるソリューション「UpToDate Expert AI(アップトゥーデート・エキスパート・エーアイ)」を開始しており、日本での提供も視野に入れている。