クウジット、東大病院などと口唇口蓋裂患者の手術・成長後の予測画像生成AI技術を開発
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AI(人工知能)データ解析事業などを展開するクウジット(東京・港区)は7月1日、電通総研、東京大学医学部附属病院と、口唇口蓋(こうがい)裂患者の手術後と成長後の顔貌(がんぼう)予測にAI画像生成技術を活用する研究開発に着手すると発表した。
「口唇口蓋裂」は、生まれつき唇や口蓋(口の中の天井部分)に裂け目がある先天性疾患で、日本では新生児の約500人に1人の割合で発症する比較的頻度の高い疾患とされる。クウジットによれば、診療では患者や家族が、手術の治療効果や将来の顔貌の変化を事前に理解することが、治療方針の決定や心理的な準備で非常に重要な要素となっている一方で、これまでは医師の経験に基づく説明や過去の症例写真による説明が中心で、個々の患者に特化した具体的な予測画像を提供することは困難だった。
今回、3者は、この課題解決でAIを活用した手術後予測の画像を作成するプロジェクトを立ち上げた。具体的には、AI画像生成技術を使って「手術後の顔貌予測」と「成長後の顔貌予測」に取り組む。

「手術後の顔貌予測」は、手術前の患者の顔写真から、手術後の顔貌を高精度で予測し、視覚的に分かりやすい画像として生成する。「成長後の顔貌予測」では、現在の顔貌から、成長に伴う将来の顔貌変化を予測し、長期的な治療効果を可視化する。
3者によると、手術の効果や将来の変化を視覚的に理解できることで、より納得感のある治療選択が可能となる患者・家族のインフォームドコンセント(十分な説明と同意)の向上、客観的で分かりやすい予測画像で医師の説明がより効果的になる医療従事者の説明支援、予測結果を参考に、より個別化された治療計画の立案が可能なる治療計画の最適化、将来への不安軽減と治療への前向きな取り組みを促進できる患者の心理的負担軽減といった効果が見込めるという。
クウジットでは、プロジェクトを通じて、AI技術の精度向上と実用化を進め、口唇口蓋裂患者と家族によりよい治療体験を提供するとしている。