エルピクセル、脳MRA画像と胸部X線画像の診断支援AIの新バージョン公開

「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」でのエルピクセルのブース

エルピクセル(東京・千代田区)は4月11日、パシフィコ横浜で開催された「2025国際医用画像総合展(ITEM2025)」で、脳MRA(磁気共鳴血管撮影法)の画像診断支援AI「EIRL Brain Aneurysm(エイル・ブレイン・アニュリズム)」の新バージョンと、胸部X線の画像診断支援AI「EIRL Chest Screening(エイル・チェスト・スクリーニング)」の新バージョンを公開した。

「EIRL Brain Aneurysm(エイル・ブレイン・アニュリズム)」の新バージョンの画面
「EIRL Brain Aneurysm(エイル・ブレイン・アニュリズム)」の新バージョンの画面

「EIRL Brain Aneurysm」は、脳のMRA画像から脳動脈瘤(りゅう)の疑いのある部分を、AIが自動で検出するソフトウエア。新バージョンは、AIアルゴリズムの感度などを改良。これまで血管の曲がった部分を間違って動脈瘤(りゅう)の疑いがある血管のこぶと判別してしまう偽陽性(間違い陽性)のエラー率を低減した。

「EIRL Chest Screening(エイル・チェスト・スクリーニング)」の新バージョンの画面
「EIRL Chest Screening(エイル・チェスト・スクリーニング)」の新バージョンの画面

一方、「EIRL Chest Screening」は、胸部X画像から結節影(けっせつえい)や無気肺などの異常陰影をAIで自動検出するソフト。新バージョンでは、「感度」と「特異度」の異常陰影検出でAIの検出性能を従来よりも高めた。向上率は非公開だが、提供する現行の「特異度優先モデル」(特異度:98・1%、感度:81・2%)と「感度優先モデル」(感度:84・2%、特異度:95・2%)で、それぞれの検出数値よりもさらに精度を高めたという。
さらに、放射線レポートシステムとの連携機能を追加した。「ITEM2025」のブースでは、インフォコムの「iRad-RW」との連携を展示した。「iRad-RW」との連携では、ボタンを押すとAIの検出結果が画面上ですぐに表示される。

福田明広・取締役COOは「画像診断支援AIで他社よりも先行しており、ノウハウを蓄積しているのが強み。その技術は今後も伸ばしていく。ただ、画像診断支援AIの提供だけではそこで終わる。画像診断支援AIを核に業務の効率化まで広げることでサービスの魅力が増す。これを武器に病院での利用を広めていきたい」と話す。新バージョンの発売日は未定。今後は腹部の画像診断支援AIも視野に入れている。

また、「パートナー向け製品化・販売支援プログラム「EIRL AI(エイル・エーアイ)パートナープログラム」も紹介した。

FathomX(ファソムエックス)のマンモグラフィー画像診断支援AIのデモ>
FathomX(ファソムエックス)のマンモグラフィー画像診断支援AIのデモ>

「EIRL AI パートナープログラム」では、医療AI会社などのパートナーが、自社のアプリケーションを画像診断AI「EIRL」のプラットフォームに搭載することで、医療機関に提供できるようにする。エルピクセルでは、医療機器開発体制構築や、薬事承認・認証取得もサポートする。4月にはシンガポールのAIスタートアップ、FathomX(ファソムエックス)が開発した乳房X線画像(マンモグラフィー)の診断支援AIの販売で提携した。

福田明広・エルピクセル・取締役COO
福田明広・エルピクセル・取締役COO

「体の部位の全てで画像診断支援AIを手掛けたい気持ちはあるが、現実的には我々1社でやるのは難しい。そこで、自分たちができない部分は他社と手を組むことでカバーできればと思っている。一方で、プログラムに参加するAIベンダーも薬事承認・認証取得のノウハウを得られるなど、メリットは大きい」と、福田・取締役COOは語った。