日本IBM、学会DBを活用した肝がん治療予後予測AIシステムの評価を開始
掲載日:

日本アイ・ビー・エムは3月11日、日本肝がん研究会の波多野悦朗理事長、建石良介理事、国際医療研究センターの國土典宏理事長、山田康秀研究医療部長、國土貴嗣肝胆膵(すい)外科医師、淺岡良成研究員、日本医師会AIホスピタル推進センターと、日本肝がん研究会の全国原発性肝がん追跡調査を活用した患者の治療法別に予後予測を行う、がん治療予後予測AI(人工知能)システムを構築し、研究に参加する会員の評価向けに試験運用を開始したと発表した。
肝がん治療の予後予測AIシステムは、日本IBM、日本医師会AIホスピタル推進センターが協力し、日本肝がん研究会がナショナルクリニカルデータベース(NCD)のプラットホームのデータベースに蓄積したされた膨大な肝がん治療の医療情報をAIの学習データに利用し開発した。肝がん診療ガイドラインに準拠した治療が対象で、個々の患者が想定される治療を行った場合の5年生存率や、生存期間を含む予後予測の実現に取り組む。
今回の試験運用では、研究に参加する会員が、原発性肝がんの腫瘍数が1から3個で腫瘍径3㎝以内で、外科切除かラジオ波焼灼(しょうしゃく)術を行った場合の予測5年生存率、腫瘍数が1から3個で腫瘍径3cm超では外科切除か肝動脈化学塞栓(そくせん)療法を行った場合の予測5年生存率、肝に限局せず他臓器に転移している症例で、分子標的治療薬を投与した場合の予測生存期間の予後予測機能を評価できるようにした。
試験運用は7月下旬までを予定する。日本IBMなどでは、実際に行った治療結果とAIの予測とを比較評価した会員に対しアンケートを行い、AIシステムの性能を評価すると共に意見を収集。性能確認後、AIが予測する治療効果の結果を基に、患者、家族、医師、医療スタッフが治療選択を行うための共同意思決定に活用してもらうことを目指す。