GEヘルスケア、慶大病院が院内データ活用の経営支援システムで病床稼働率向上など達成
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慶應義塾大学病院の「コマンドセンター」
GEヘルスケア・ジャパン(東京・日野市)は12月11日、慶應義塾大学病院(東京・新宿)が導入した、同社の医療機関内の情報をリアルタイム分析する経営支援システム「コマンドセンター」を活用し、病床稼働率向上などの経営指標を達成したと発表した。
「コマンドセンター」は、電子カルテを始めとする、病院内の情報システムのデータを、リアルタイムで分析と可視化することで、患者のケアに必要なリソースを効率的に配分し、必要なケアをタイムリーに提供するための意思決定を促す役割を担うシステム。慶大病院では2022年から導入した。
同病院では2023年度からは、データ駆動型病院プロジェクトに着手。この中で10項目にわたる病棟や診療科ごとに成果指標(KPI)を設定。「在院日数削減と回転率の向上」「空床インターバルの削減と病床稼働率の向上」「緊急・臨時ベッドの割り当て調整時間の削減」「残業や局所的な業務負荷の抑制による職員モチベーション向上」などを主な指標に掲げた。また、成果指標の達成状況の確認や効果検証のダッシュボードも開発した。
取り組みでは、例えば、高度な医療サービスが必要な患者の緊急入院の受け入れを増やすための病床収容力の最大化で、患者の退院を2日前に予測できるように、退院予定オーダ入力運用の標準化とルール規律の徹底を図った。
その上で、標準運用が診療科ごとや医師ごとにどの程度徹底されているのか、空床のインターバル時間がどのように変化しているかなどを可視化しながら運用を検証。その結果、現在ではほぼ全ての診療科で患者の退院を2日前には80%以上の高精度で把握できるようになった。
同時に、DPC(診療群分類別包括評価)II期以内の退院率も7割以上を達成。退院後には次の入院病床の決定が円滑にできるようになり、空床インターバルが改善した。さらに、緊急入院の受け入れも柔軟に対応できる収容力が生まれたことで新たな入院患者の受け入れにもつながり病床回転率が大幅に向上した。
慶大病院では、まず、パイロット診療科で運用。成果が確認できたことから、全診療科や病棟に順次拡大した。
GEヘルスケア・ジャパンでは、慶大病院が運用したシステムの成果を基に、成果指標の設定、達成状況の可視化などのフレームワークや、経験値やノウハウを体系化しソリューション「アクティベーションサービス」を開発。今後、コマンドセンター導入時や運用期間のコンサルテーションサービスの一環で提供する。