医療テックニュース

さいたま赤十字病院、RPAツールの内製開発・運用で業務時間と経費を削減

オープン(東京・港区)は10月30日、さいたま赤十字病院(さいたま市)が、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)ツール「BizRobo!」を内製開発で運用し、業務時間と経費を削減したと発表した。

さいたま赤十字病院は、33の診療科、638床の病床、高度救命救急センターや総合周産期母子医療センターを持つ総合病院で災害拠点病院。同院は、多数の患者対応にスタッフの業務量が年々増加する一方、採用難も顕著で、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル化による業務削減が求められていた。

そこで、ルーティンワークを自動化すべく、2023年にオープンのサーバー型RPA「BizRobo! Lite」が導入した。RPA導入では、複数の製品を検討したが、現場主導でロボット開発や運用ができることや柔軟なライセンス、料金システム、同じ日本赤十字社の別病院で既に「BizRobo!」を導入した実績が決め手となり「BizRobo!」を選定した。

さいたま赤十字病院が作成したPRAのロボット例
さいたま赤十字病院が作成したPRAのロボット例

さいたま赤十字病院では当初、パートナー企業の支援を受けつつ人事課の職員が勤怠管理関連のロボットを開発。その後は4~5名の事務スタッフが主体となり内製で開発を進め、導入から約2年で「残業時間が多い職員にアラートを送るロボット」や「入院患者カードの作成ロボット」など、130体以上のロボットを作成するまでになった。現在も約100体のロボットが20前後の業務で稼働する。RPAロボットの活用で、導入目的の時間外労働の削減に一定の成果が見られているという。

また、電子カルテシステムの改修が必要な業務に対してもRPAで対応するケースが増加。通常高額な費用と長い期間を要するシステム改修を、事務スタッフが短期間で開発したロボットが代替することで、システム改修費のコスト削減にもつながった。具体的には、新規入院患者カードの自動作成・印刷や、抗菌薬投与患者の情報を電子カルテから自動ピックアップして関係チームに共有する業務などがRPAで自動化された。

さいたま赤十字病院では今後、薬剤部や看護部などにもRPAの利用を拡大する計画。年間で1000時間の業務削減を目標に掲げており、ほかの病院の活用事例なども参考にしながらRPAの活用と運用を加速する。