メドコム、秋田大とスマホ導入による看護師業務負担軽減効果の検証を委託
掲載日:
医療用スマートフォン開発のメドコム(東京・江東区)は12月22日、秋田大学大学院医学系研究科に、スマートフォン導入による病棟看護師の業務負担軽減効果を評価する研究を委託したと発表した。スマホを活用することで、看護師などの医療スタッフのコミュニケーションをはじめとする業務負荷の削減に役立つかを確かめる。
研究名は「医療機関用スマートフォン導入による病棟看護師の業務負担軽減効果の評価に関する前後比較研究」。研究では、秋田大が看護師を中心に看護補助者、クラークなどのスタッフに対し、同社の医療機関用スマートフォンを導入。固定電話やPHSを使った従来の業務環境と比較して、コミュニケーションに必要とする時間を含む看護師の業務負担が軽減されるかを定量・定性の観点から検証する。
具体的には、スマホによって業務が効率化され、時間的余裕が生まれ、心理的負担も軽減されているか、スマホによるICT(情報通信技術)の活用でDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めることで、病棟業務の設計や人員配置の最適化を再考する契機となるかを確かめる。実施許可日から2028年3月31日まで実施する。
メドコムによると、近年では看護師などの医療従事者の過重な業務負担や頻繁なコミュニケーション負荷が報告されており、心理的ストレスや職務満足度の低下につながることが指摘されているという。特に病棟で従来の連絡手段のPHSや固定電話は、業務中断の頻発、情報の断片化、伝達ミスを招きやすく、看護師の時間的効率や心理的負担に大きな影響を及ぼしている。
一方で、医師の働き方改革や医療DXの取り組みの一環で、ICT機器の利用が進められ、スマートフォンの活用や、スマホ導入に伴うチャット機能などが業務を効率化し、職員満足度を向上すると注目されている。
しかし、導入した病院の多くが個別の事例報告など定性的評価にとどまっており、実際に業務に与える定量的な効果や、業務負荷とストレスの軽減に役立つ明らかなエビデンスは限られているという。そこで、同社では秋田大とスマホの業務効率化効果をより具体的なデータで確認する研究を行うことにした。