富士通、医療機関の事務作業を代行するAIエージェント実行基盤を構築、エヌビディアが技術支援

ヘルスケア特化型AIエージェントの利用イメージ

富士通は8月27日、医療機関の経営効率化と安定的な医療サービス提供を支援するヘルスケア特化型AI(人工知能)エージェント実行基盤を構築したと発表した。

ヘルスケア特化AIエージェントの実行基盤のイメージ
ヘルスケア特化AIエージェントの実行基盤のイメージ

基盤は、事業モデル「Uvance(ユーバンス)」の「Healthy Living Platform(ヘルシーリビングプラットホーム)」上に、データ構造化や相互運用監視などAIエージェントの連携を支援し全体統括を行うAIエージェント「オーケストレーターAIエージェント」を構築。富士通やパートナー企業のヘルスケア特化型AIエージェントを組み込めるようにした。

AIエージェント同士が自律的に連携と協働する
AIエージェント同士が自律的に連携と協働する

基盤で「受付エージェント」「問診エージェント」「診療科分類エージェント」など複数の医療分野の業務特化型AIエージェントが、オーケストレーターAIエージェントが司令塔となり、自律的に連携や協働し、受付や問診、文書作成などの間接業務を代替する。AIは患者の電子カルテなどの情報を基に作業する。データを保護する機能を盛り込みセキュリティーも確保した。計算処理を高速化などの技術面ではエヌビディアが協力する。

例えば、患者が来院し診察を受けるまでには、受付でのカルテや保険証の確認、医師や看護師の問診や診療科の判断など専門職による対応が必要だったが、この一連の流れをAIエージェントが代行する。

AIを活用することで、医療従事者は診療や患者ケアに専念でき、医療サービスの質向上が見込める。また、医療機関の経営者は、医療従事者を本来業務に集中させることが可能になり、収益改善と労働環境の整備を通じて人材の確保や定着が期待できる。

厚生労働省の統計によると、2022年度の国民医療費は約46兆円に達し、その約半分が人件費に充てられ、そのうち約16%が事務作業に費やされている。こうした背景から、医療機関の75%が財政赤字になっており、医療従事者の過重労働が常態化している。富士通では医療現場の膨大な事務作業が一因とみて間接業務をAIエージェントに置き換えることで、この課題解決につなげる。

大塚尚子・執行役員常務は、27日の記者会見で「医療業務オペレーションをデータとAIで簡素化することで、医療従事者を解放することが医療機関の業務変革につながる。また、日本の医療の持続可能性の向上にもなる」と説明した。

富士通では、2025年中に医療機関や国内外のパートナーと、AIエージェント基盤の有効性を検証する。同時に具体的なヘルスケア特化型AIエージェントの開発を進め、事業化を加速する。