メディカルAIソリューションズ、春日井市民病院がAI退院サマリー作成支援システム導入

FIXER(フィクサー、東京・港区)と藤田学園(愛知・豊明市)子会社のフジタ・イノベーション・キャピタルが設立した生成AI(人工知能)医療文書作成支援サービスのメディカルAIソリューションズ(東京・港区)は8月14日、春日井市民病院(愛知・春日井市)と業務委託契約を結び、同院が生成AIを活用した退院サマリー作成支援システム「GaiXer Medical Agent(ガイザーメディカルエージェント)」を導入したと発表した。

「GaiXer Medical Agent」は、電子カルテに表示された「サマリー生成」のボタンをクリックするだけで、患者基本情報や診療記録などから必要なデータを抽出し、数秒で退院サマリーの下書きを作成するシステム。これまで1件あたりで10~15分かかっていた書類作成が、わずか数回のクリックで行えるという。書類の下書きは自由に修正が可能で、電子カルテに転記ができる。藤田医科大学病院(愛知・豊明市)が、すでに導入しており、同院の医師の92%が「業務効率化につながった」と評価したという。

医師の業務負担の軽減と医療の質向上の両立は、全国の医療現場で喫緊の課題で、春日井市民病院も対応に迫られていた。一方で、同院は富士通製の電子カルテを導入しており、サマリー作成のシステムとの互換性が懸念となっていた。

メディカルAIソリューションズでは、藤田医科大学の先行導入で同院が運用する日本IBM製の電子カルテで品質と安全性を確認。今回、富士通製の電子カルテでもシステムとの高い互換性を実証できたことから春日井市民病院では導入を決めた。

同院ではシステム導入で、医師の働き方改革に加え、文書作成自動化で新たに生み出された時間を診療や患者とのコミュニケーション、研究などに充てる考え。また、生成AIが下書きを作成することで、サマリーの質向上と均てん化につながることも見込む。今後は対象診療科を順次拡大すると共に、看護サマリーや紹介状などの医療文書への展開も検討する。