オープン、旭川赤十字病院、AWSと生成AI・音声認識でICとカンファレンス議事録の自動作成を実証
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オープンは7月30日、アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)と、旭川赤十字病院(北海道・旭川市)で、生成AI(人工知能)と音声データ認識を活用し、インフォームド・コンセント(IC、説明と同意)とカンファレンス議事録を自動生成する実証実験を実施したと発表した。

実証では、旭川赤十字病院で、日々行われているICとカンファレンスの音声を録音。同院が利用するオープンのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)「BizRobo!(ビズロボ)」が、音声データと電子カルテ上の必要情報をAWSジャパンとオープンのフルマネージド型の自動音声認識サービス「Amazon Transcribe(アマゾン・トランスクライブ)」と、プライベートAI基盤「Amazon Bedrock(アマゾン・ベッドロック)」に連携して「Amazon Transcribe」で音声データの文字起こしを行った。その後、「Amazon Bedrock」が要約や適切な書式に成型し、ICとカンファレンスの議事録の自動生成した。

実証実験は3月から7月までの期間で実施。3者は、これから実験結果の本格的な検証に着手する。検証では「クオリティ・医療安全の担保」「業務削減効果」「働き方改革への寄与」を指標にして確かめる。
「クオリティ・医療安全の担保」は、電子カルテの情報がガイドラインに基づいて正しく引用されているかや用語や文法が適切に記載されているか、院内の医師や看護師を始めとする多職種スタッフとの連携で適切な形式で議事録が生成されているかを吟味する。
「業務削減効果」は、従来の議事録作成工程と比較し、どの程度の時間削減が可能かを見極める。「働き方改革への寄与」では、実証実験で、院内スタッフの残業削減でどの程度の効果が見込めるかや、院内のタスクシフト(医師の業務の一部をほかの医療従事者に移譲すること)への寄与がどの程度を見込めるかについて調べる。一方で、実験終了直後の肌感では、議事録作成1件あたり、30~60%程度の時間を短縮した手ごたえがあったという。
オープンでは医療機関の業務に合わせたソリューションのカスタマイズを行っており、今後はこうした実績を旭川赤十字病院のAI導入でも活用し、生成AIを簡易的な機能だけではなく、自律的に人の意思決定を支援する形にブラッシュアップし、業務フローの効率化まで対応範囲を広げる。また、RPAとAIを連携し、退院サマリー、看護サマリー、診療情報提供書の自動作成、問診票の取り込み、持参薬の鑑別などにも着手。旭川赤十字病院の業務変革を支援する。