藤田学園、FIXERと、生成AI活用の退院時サマリー作成支援システム開発、外販も開始
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藤田医科大学を運営する藤田学園(愛知・豊明市)は5月28日、FIXER(フィクサー、東京・港区)と、生成AI(人工知能)を使った「退院時サマリー作成支援システム」を共同で開発したと発表した。2025年2月に藤田医科大学病院(愛知・豊明市)の6診療科で先行運用をスタート。3月からは精神科などの3科を除く入院機能を持つ31診療科での運用を開始した。
「退院時サマリー作成支援システム」は、電子カルテから生成AIが退院時サマリーに必要な情報を自動で抽出し、下書きを作成するシステム。生成AIが下書きを作成することで、サマリーの質向上と均てん化、これまで1件あたり10~15分かかっていた書類作成作業を大幅に削減できるという。
具体的には、電子カルテ上に表示される「サマリー生成ボタン」をクリックすると、患者基本情報や診療記録などを基に、LLM(大規模言語モデル)が患者ごとの診療情報を要約し、自然な文章でサマリーの下書きを生成する。生成された文章は自由に修正可能で、「取り込みボタン」をクリックすると電子カルテに転記する。

藤田学園が、3月に医師170名を対象に行ったアンケート調査では、「退院時サマリー作成支援システム」を使用する医師の92%が「時間短縮、業務改善につながった」、81%が「満足」と回答した。導入後の3カ月で累計の短縮時間は約1000時間に上っており、医師の働き方改革に役立っているという。
今後は、ほかの文書作成にも応用する準備を進める。看護サマリーは5月から現場での運用を始めた。診断書も6月から運用を開始する予定で、順次対象を広げる。
システムの外販にも乗り出す。2社は昨年からほかのメーカーの電子カルテシステムを導入する県内の総合病院で実証実験を実施。実証でシステムの汎用(はんよう)性を確認し、実用化のメドが立ったとして、藤田学園100%子会社のフジタ・イノベーション・キャピタルとFIXERで新会社「メディカルAIソリューションズ」を設立し、システムを全国に展開する。新会社は5月から本格稼働を開始した。