NTT東、NTT東関東病院で「IOWN」と「tsuzumi」活用した医療文書作成支援AIの実証事業

NTT東日本は12月9日、運営するNTT東日本関東病院(東京・品川区)で、NTTの次世代通信基盤「IOWN(アイオン)」と、LLM(大規模言語モデル)「tuszumi(つづみ)」」を活用した医療文書作成支援AI(人工知能)の実証事業を実施すると発表した。

実証では、「tsuzumi」を活用し、専門性の高い医療用語に対し適切な文脈で出力する、
医療文書作成支援AIモデル構築する。また、AIの利用で使うGPU(画像処理半導体)サーバーをローカル環境に構築する場合、処理で膨大なエネルギー消費を伴うため、電力確保などのインフラ増強が課題となる。

そこでNTT東日本では、関東病院と遠隔にある閉域データセンターのGPUサーバーを通信ネットワーク全区間で光波長を専有する通信サービス「IOWN APN(アイオン・オール・フォトニクス・ネットワーク」に接続することで、機微な学習データを院内に置いたまま、ローカル環境と変わらない安全で低遅延のLLM学習環境の構築に取り組む。

実証実験の概要
実証実験の概要

具体的には、NECの伝送装置を使って「IOWN APN」を構築する。また、関東病院とGPUサーバー間は、「IOWN APN」の関連技術で量子計算機でも攻撃が困難な安全性を持つ転送システム「耐量子セキュアトランスポートシステム」で接続する。

構築した実証実験の環境で「IOWN」を基盤としたLLM学習の拠点間通信でローカル学習時間との比較、「tsuzumi」を活用した医療文書作成支援AIモデルの構築と効果測定で、プロンプトエンジニアリングなどの医療情報学習を通じた「tsuzumi」の精度向上、医師の生成サマリー評価などを検証する。

NTT東日本では今後、実証の検証を通じて、「医師の働き方改革」に役立つ医療文書作成支援AIモデルの開発につなげる。また、電子カルテメーカーとソリューションを開発する考え。