地域創生Coデザイン研究所、医療機関のDXコンサルティングサービスを本格展開へ

地域創生Coデザイン研究所の高橋洋司・主任研究員チーフCoクリエイター(左)と市彩華・戦略企画部リードプロデューサー

NTT西日本子会社で、地域課題解決コンサルティングの地域創生Coデザイン研究所(大阪市)は、医療機関向けのコンサルティングサービスを本格化する。地域の病院を主なターゲットに、ICT(情報通信技術)で業務効率化や経営改善を図る病院DX(デジタルトランスフォーメーション)や医療アクセスの支援サービスを展開する。

地域創生Coデザイン研究所は、NTT西日本の100%子会社で、地域課題解決のコンサルティングや自治体・国への政策策定支援、地域データを活用したデータビジネスなどを手掛ける。病院DXを中心とする医療機関向けコンサルティングサービスは2025年1月から開始した。

病院DXの推進内容とコンサルティングサービスの流れ(提供:地域創生Coデザイン研究所)
病院DXの推進内容とコンサルティングサービスの流れ(提供:地域創生Coデザイン研究所)

病院のコンサルティングサービスの流れはこうだ。まず、現状を把握し、課題を特定する。その後、最適なICTの選定と実証・効果測定、ICTの導入、定着研修を経て実運用を開始する。

高橋洋司・主任研究員チーフCoクリエイターは「単なるICT導入ではなく、現場の課題を掘り起こして、理事長や院長、事務長、看護部長など病院関係者と徹底的に話し合って合意形成を行ったうえで、最適なツールを導入し、定着まで支援するのが強み」と説明する。

1月14日に開催した説明会では、病院DXの取り組みで、回復期リハビリテーション病院のコンサルティングで業務可視化ツールとビジネスチャットの導入による業務改善の最新事例を紹介した。

業務可視化による改善事例(提供:地域創生Coデザイン研究所)
業務可視化による改善事例(提供:地域創生Coデザイン研究所)

業務可視化による改善は、看護師ごとの業務実態の把握を目的に屋内位置情報サービスのビーキャップ(東京・港区)のアプリを活用し、業務量を可視化した。その結果、記録業務が多く、本来は推奨される病室での作業が、主にナースステーションで実施されていることが判明。また、薬などを運ぶ配送業務が多いこともわかった。病院では業務改善が必要として、音声入力の導入と看護師指導方法の変更、搬送業務のロボットへの代替を検討することになったという。

ビジネスチャット導入による改善事例(提供:地域創生Coデザイン研究所)
ビジネスチャット導入による改善事例(提供:地域創生Coデザイン研究所)

一方、ビジネスチャットを導入した改善では、看護師同士、医師と看護師が電話で連絡する1対1の意思疎通を解消し、コミュニケーションの円滑化を図るために急性期病棟の看護師にスマートフォンを配布し、ビジネスチャットを活用する実証を実施した。

チャットの導入で1日当たりの電話回数・時間は5~7割削減した。終礼の廃止にもつながり、1日当たりで100~150分(10~15分で10名分)の業務時間を削減した。高橋主任研究員は「終礼の廃止では、その業務をチャットにどう置き換えるのかを病院関係者とコミュニケーション取りながら1つ1つ解決をしていった」と振り返る。

地域医療支援の事例も紹介。中山間地域で医療MaaS(次世代移動サービス)を活用した遠隔医療の実証実験について説明した。車の中にオンライン診療のシステムを積み込み、医師が病院にいる状態で患者の自宅や集会所に巡回する仕組みで、島根県の大田圏域で実施した。実証は、経産省の事業で2025~26年に行った。

医療MaaSの概要(提供:地域創生Coデザイン研究所)
医療MaaSの概要(提供:地域創生Coデザイン研究所)

地域創生Coデザイン研究所は、ICTの導入と環境整備に加え、計画や運用、モニタリング、評価も支援した。「単にICTを積んだ車を使って遠隔医療を提供するだけでは定着につながらない。われわれは、現場に入り込んで伴走することで、医者、患者から対面診療と同じ形で十分使えるという評価を得た」と、高橋主任研究員は話す。

複数医療機関による医療MaaS車両の共同利用モデルの概要(提供:地域創生Coデザイン研究所)
複数医療機関による医療MaaS車両の共同利用モデルの概要(提供:地域創生Coデザイン研究所)

また、実証で医療MaaSの運用コストが課題となることがわかり、2年目には地元のケーブルテレビが運営・配車する医療MaaS車両を複数の医療機関が共同利用するモデルを検証。車両タイプによる診療の質や運行範囲、収支構造の比較を確かめたほか、自動運転車の導入適合性や車両の不稼働時間の削減にも取り組んだという。

高橋主任研究員は「実証を通じて、遠隔医療の課題だけでなく、将来的に地域交通の減衰や人手不足で医療や福祉移動が困難になることもわかった。今後は、この新たな課題の解決にも取り組んでいく」と話す。

地域創生Coデザイン研究所では今後、医療機関向けのコンサルティングサービスを全国で本格展開していきたい考え。院内に情報システム担当者がいない回復期リハビリテーション病院や急性期病院からニーズがあるといい、「支援先をこれから増やせるだけ増やしていきたい」(高橋主任研究員)としている。