エニシア、AIが電子カルテなどの機密情報から安全に情報を抽出する技術で特許取得
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京大発ベンチャーで医療向けAI(人工知能)ソフト開発のエニシア(京都市)は10月30日、AIが機密情報を安全に扱いながら情報を抽出する「情報抽出システム、情報抽出装置、情報抽出方法・プログラムで特許を取得したと発表した。
今回、特許取得したのは、情報の分離とマスキング、匿名化処理の分散、安全な情報抽出と復元の技術。

情報の分離とマスキングは、電子カルテなどの機密文書を意味の通じる短いテキストに分割する。同時に、分割テキストの一部の抽出や、ダミー文書と混合した文書情報を生成し匿名化処理を行う。
匿名化処理の分散は、生成した文書情報を、複数の異なるAIサーバーに分けて送信し、それぞれで匿名化処理を実行する。そのため、単一のサーバーにも元の文書の全容が集積することがなくなり、情報源の特定が困難にする。
安全な情報抽出と復元では、匿名化が完了し、安全性が確保された文書のみを、別のAIサーバーで処理し、利用者が求める特定の情報のみを抽出する。一方、復元は、利用者の管理下の安全な端末内に限って、個人が特定できる情報を元の用語に復元する。
医療現場では、診療情報提供書(紹介状)や退院サマリを作成時に、過去のカルテから必要な情報を探し出す作業に多くの時間がかかっている。エニシアが取得した特許は、こうした医療文書をAIが安全に読み取り、個人情報を含まない形で必要な情報だけを抽出・整理できる。そのため、AIを使っても患者情報を外部に漏らさず、医師が短時間で正確な文書を作成できるという。
同社では、今回の技術は、医療分野だけではなく、個人情報や機密性の高い文書を扱うあらゆる現場に応用できるといい、人が読むには膨大で、AIに任せるにはセンシティブな文書を安全で迅速な処理が可能になるため、情報の機密性を保ちながら文書作成を効率化し、データ活用の幅を大きく広げるとしている。