AWSジャパン、神戸大と次世代医療プラットホーム「医療MaaS」構築で包括連携協定

アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(AWSジャパン)は10月2日、神戸大学大学院医学研究科、神戸大学医学部附属病院と、超高齢社会と地域過疎化による通院困難者の増加や地域医療格差などの医療・社会課題の解決で、教育・研究・医療分野で包括連携協定を締結したと発表した。

連携では、AWSのクラウドや生成AI(人工知能)を活用し、次世代医療プラットホームと位置付ける「医療MaaS」を構築する。神戸大の「医療MaaS」は、患者や医療スタッフの「人」、検体や薬の「モノ」、検査や健診情報の「データ」が、自宅から病院、在宅ケアまでを1つの流れとして切れ目なく行きできる仕組みを指す。神戸大学では次世代医療プラットホームを「神戸医療DXモデル」として展開する。

具体的には、移動手段が少ない地域の患者や移動が難しい高齢者のオンライン診療や、病院同士が連携し地域全体で患者の情報を共有する基盤にプラットホームを活用する。加えて、医療現場や学生の教育にAWSのデジタル技術を導入。病院のデータを、教育や研究に利用することで医療の質向上にも取り組む。

宮西正憲・神戸大学大学院医学研究科医科学専攻生化学・分子生物学講座細胞医科学分野教授は「患者にひもづいた『人』『モノ』『データ』を安全で統合的に循環させて、病院という場所からデータを中心にすることで一人ひとりに寄り添った医療が提供できる」と説明した。

神戸大では次世代医療プラットホームで医師など医療従事者の業務効率化にも活用する。黒田良祐・神戸大学医学部付属病院病院長は「医療現場は人手不足と書類作成など非医療業務が肥大している。(プラットホームで)こうした現場の課題を見える化と効果検証を進めて、人がやるべき医療に集中できる構造へと病院を作り上げる」と強調した。