松波総合病院、ユビーの生成AIとDWHを連携したDPCコーディング支援機能の運用開始
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Ubie(ユビー、東京・中央区)は9月29日、松波総合病院(岐阜・笠松町)が、生成AI(人工知能)「ユビー生成AI」を活用したDPC(診断群分類別包括評価)サポーター機能を、同院が運用するジャストシステムの医療向けデータウェアハウス(DWH)「JUST DWH」と連携して運用開始したと発表した。
DPCサポーター機能は、電子カルテシステムのデータを、DWHを経由して「ユビー生成AI」に連携することで、必要な診療情報を効率的に活用できる。生成AI技術で入院患者1人あたり数十万字にもなる医師や看護師らが作成したのカルテ記事など、これまで個別にカルテの確認が必要だった非構造化データから、DPCコーディングに必要な情報を自動的に抽出し構造化できるようにした。
AIが医事データも参照した上で提示する情報に基づいてデータの抽出と構造化を行うため、医療従事者は迅速に正確なDPCコーディングを行える。コーディング精度が向上することで、入院早期から平均的な入院日数(DPC期間II)がわかるようになり、ベッドコントロールに活用できる。ほかにもコーディングに関わる職種の業務負担軽減や、請求業務でコードの適正化で一定の収益増が見込めるという。
生成AIで一括処理された情報は、DWHのダッシュボード上で再表示して参照も可能。日次(にちじ)で全入院患者のデータを取得する仕組みを構築しており、継続的に業務効率化が図れる。構築した医療データ活用基盤は、電子カルテ本体だけではなく部門システムなどを含む包括的なデータ活用に応用できる。
松波総合病院は、急性期医療を担う地域の中核病院。同院はDPC制度のコーディングで電子カルテ内の膨大な診療情報から、DPC算定に必要な情報を抽出し整理する作業が、関係部署の大きな業務負担となっており、特にカルテ記事など非構造化データからの情報収集が多大な時間と専門知識が必要なため課題となっていた。この課題解決で、「ユビー生成AI」のDPCサポーター機能の実務活用を開始した。
同院は、DPCサポーター機能を皮切りに、今後は1つのデータ連携基盤を活用した複数業務の効率化に段階的に取り組む方針。具体的には、患者サマリーの要約や、入院・退院サマリー、紹介状、診断書などの医療文書の下書きを自動作成する支援業務への展開を計画する。一方、ユビーは、松波総合病院での取り組みを、ほかのDWHを活用する医療機関に展開することも視野に入れている。