NTT、データ分析を最大73倍高速化する情報選択AI、医療分野など多領域に応用
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NTTは9月8日、従来のアルゴリズムよりも最大で73倍の高速で大量のデータから重要な情報を選択しデータ分析が可能な情報選択AI(人工知能)アルゴリズム「高速スパースモデリング技術」を開発したと発表した。世界最速級の手法という。医療を始め、製造やマーケティング・エネルギーなどでの利用を見込む。
「スパースモデリング」は、データから重要な情報だけを抽出し、不要な情報を除いて解析を行う機械学習・データ分析の手法。利用者が「閾値(いきち)」となるデータの情報に対し重要か、そうでないかの境界線を設定することで、アルゴリズムが情報を閾値以下と判断すれば不要な情報として処理することで、大量のデータ分析が行える。
一方で、データの取得期間が長期化した場合などには、分析に1カ月以上の時間がかっていた。また、一部のデータのみで処理時間を短縮するため、全てのデータを分析することが難しかった。

NTTが開発した「高速スパースモデリング」では、「重要度の上界」と呼ぶ、過去に「スパースモデリング」で処理した「情報の重要度」の値を活用し、AIがデータと「重要度の上界」を照らし合わせ、閾値以下であれば処理作業を省略することで、全てのデータを対象に高速な分析を可能にした。
新技術を使うことで、医療分野のデータ分析では、従来のスパースモデリングよりも最大68倍、マーケティングとエネルギー分野は73倍、製造分野は35倍の高速化が図れ、処理時間の短縮が可能。NTTドコモビジネスのノーコードAI開発ツール「Node-AI(ノードエーアイ)」の医療と製造分野のデータ分析で、すでに導入されており利用できる。
医療での利用では、例えば、血液検査などから、がん患者と、がんではない患者の遺伝子データを大量に分析し、新しい治療法開発に活用できるという。また、生成AIを使った電子カルテのデータなどから医療情報提供書や退院サマリーといった書類作成で、新技術を組み合わせることで、生成AIのLLM(大規模言語モデル)ではカバーできなかった、患者ごとで異なる重要性が高い情報の補完が可能になり、より精度や情報密度の濃い書類が作成できるようになるとしている