医療機関の倒産、25年上半期は35件で過去最多ペース 帝国データバンク調査
掲載日:

帝国データバンクは7月8日、2025年上半期の医療機関(病院・診療所・歯科医院)の倒産動向を発表した。医療機関の倒産件数は35件で過去最多を上回った。物価高や人件費などの高騰による収益悪化や経営者の高齢化、建物の老朽化などを背景に事業継続を断念する事業者が相次いだ。

倒産件数は、過去最多だった2024年上半期の34件を超えた。内訳は病院が9件、診療所が12件、歯科医院が14件。病院が2007年の18件、歯科医院は2024年の27件の過去最多に並ぶ水準で推移した。負債10億円以上の倒産は4件で全て病院だった。態様別では34件が破産となった。都道府県別では北海道、東京、神奈川、奈良、兵庫、福岡など18都道府県で発生した。
帝国データバンクでは、医療機関の倒産が急増する背景には収益性の悪化があると分析。近年の医療機器の価格、人件費、入院患者の給食費、光熱費などが高騰する一方で、診療報酬が、それらの上昇分をまかなうにはほど遠いレベルで推移していることを要因に挙げている。また、診療所や歯科医院などの中小事業者では、経営者の死亡や高齢化で事業継続が困難になった事業者が急増しているという。
さらに、病院について、建物の老朽化を指摘。病院建物の法定耐用年数は39年とされているが、耐用年数を超えても、建設費高騰や資金難で新施設の建設ができずに事業存続の危機に陥る施設が相次ぐ可能性があるとしている。

帝国データバンクが病院を経営する全国の5132事業者の設立時期の分布を調べたところ、39年前の1986年以前に設立された病院は全体の53.4%を占めた。同社では経営状態が悪化している医療機関は増加し続けており、このままのペースで推移すると、2025年の倒産件数は、2024年の64件を上回り、年間で初めて70件に達する可能性があるとみている。