AWS、生成AIのトレンド解説、モデル多様化と用途拡大がカギに

生成AIの動向や取り組みを説明する小林正人・アマゾン・ウェブ サービス・ジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部技術本部長

アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は6月10日、生成AI(人工知能)の動向や取り組みを紹介する説明会を開催した。

生成AI活用のトレンド
生成AI活用のトレンド

AWSでは生成AI活用のトレンドについて「モデルの多様化」「要件の高度化」「活用領域の拡大」を挙げた。「モデルの多様化」は、「タスク特化型モデル」「マルチモーダルモデル」など、用途と入出力形式の両方で選択肢が増えており、コスト感、推論のスピードが違うモデルが、さまざまに出てきているという。

「要件の高度化」では、生成AIの使い方で生まれる価値が生まれるという期待値の高まりがあると分析。その背景に2023年のプロンプトエンジニアリング、2024年のRAG(検索拡張生成)、最近では「AIエージェント」「モデルカスタマイズ」といった難易度とポテンシャルが高いAIの利用拡大があるとしている。

「活用領域の拡大」では、導入企業の多くが最初は個人が小規模に活用で開始し、その後、全組織的に展開していると分析。「この順番で生成AI活用を進めることが1つの定石になっている」と、説明会で、小林正人・アマゾン・ウェブ サービス・ジャパン サービス&テクノロジー事業統括本部技術本部長は話した。

AIエージェントの進化
AIエージェントの進化

「AIエージェント」についても言及。AWSでは「AIエージェント」を「生成AIアシスタント」「生成AIエージェント」「エージェンティックAIシステム」の3つに分類。「生成AIアシスタント」は、定義されたルールにしたがって動作し、何度も発生するタスクを自動化するAI、「生成AIエージェント」は、単一の目的を果たし、幅広いタスクを解決するAI、「エージェンティックAIシステム」は、完全自律型で人間の論理や考え方と理由付けを模倣し、ユーザーの求めるものを理解して複数のAIエージェントを束ねるAIと定義した。

AIエージェントの動作イメージ
AIエージェントの動作イメージ

AWSでは、ユーザーからリクエストを受けた生成AI基盤モデルが、外部の複数のリソースを呼び出して、複雑なタスクを実行するのがAIエージェントの動作イメージと説明。説明会では、AWSがそのサポートすることも強調した。

具体的には、米アンソロピックが提唱するオープンなプロトコル仕様「MCP」(Model Context Protocol)への対応を挙げた。その取り組みとして、MCPサーバー「AWS Lambda MCP Server」の公開や、データベースに対応のMCPサーバー「AWS Aurora MySQL MCP Server」の提供を説明した。

AWSでは2025年を生成AI活用のフェーズで重要な節目になるとみている。小林正人技術本部長は「これまでは『生成AIを試してみること』を目的にした実証実験が多かったが、今後は一歩進みで、具体的なビジネス価値の創出と重点が移っていく」と強調した。