Kairion、院内完結型の診療記録AI発売 患者との会話からカルテ下書き作成

「Kairion Scribe for medicine」の概要

医療AI(人工知能)ソフトウエア開発のKairion(カイリオン、愛知・犬山市)は9月30日、患者との会話からカルテ記録の下書きを自動作成するAIシステム「Kairion Scribe for medicine(カイリオン・スクライブ・フォー・メディシン)」を発売したと発表した。音声認識から要約までを院内ネットワーク内で処理するのが特長で、医師をはじめ、看護師や薬剤師、医療事務など幅広い職種の記録業務で利用できる。

システムは、院内専用のスマートフォンと襟元に装着するワイヤレスマイクで会話を録音し、AIが文字起こしとカルテ記録の下書き作成を行う仕組み。録音開始後はスマートフォンを胸ポケットに入れ、両手を使いながら訪室や回診、処置などの会話を記録できる。院内LANに接続した専用スマートフォンやタブレット端末、パソコンのブラウザーから利用できる。

下書きのテンプレートでは、看護記録や申し送り、服薬指導記録、栄養指導記録、リハビリ実施記録、手術記録、説明・同意の記録、議事録など、職種や場面に応じた書式を用意した。医師の診療録はSOAP(主観、客観、評価、計画)形式にも対応する。「AIテンプレートエディター」の機能を使って、医療機関独自の書き方に合わせたテンプレートも作成できる。

作成した下書きは医療従事者が確認・修正し、承認後に既存の電子カルテに手作業でコピーして貼り付ける形で運用する。電子カルテの入れ替えは不要で、機種を問わず併用できる。

また、電子カルテの画面を画像として取り込み、過去の診療記録から退院サマリーや経過要約、看護サマリー、紹介・転院用の要約の下書きをAIが作成する機能も備える。

さらに、医師向けの医療情報支援機能「SATORU MODE(サトルモード)」も搭載した。患者のカルテ記録や問題リスト、処方を基に、症例のサマリーや鑑別・検査・治療の参考情報を提示する。

AI処理には、米エヌビディアのAI処理用チップ「GB10 Grace Blackwell Superchip」を搭載した卓上型のAIワークステーションを使用する。システムは、院内の電子カルテ用LANだけで通信を行い、音声認識や要約などは院内に設置するAIワークステーションが処理する。インターネットなど院外のネットワークには接続しない。

録音音声は文字起こし後に直ちに削除する。データ領域の暗号化や職種ごとの権限管理、患者情報の閲覧・変更履歴を残す監査ログなどの機能も備える。患者の過去の医療記録から必要な情報を探す検索データベースや、カルテ記録と請求内容を照合し、記載漏れや算定の確認点を知らせるAIレセプト(診療報酬明細書)点検機能も開発している。

カイリオンでは、病院や診療所などを対象に、AIワークステーションを含むアプリケーションとして提供する。価格は問い合わせに応じて案内する。1カ月間無料で試せるデモ機の貸し出しも受け付ける。