京都保健会、京都民医連中央病院の医療DXが厚労省事業に採択 ウエアラブル機器活用

京都保健会(京都市)は9月25日、運営する京都民医連中央病院(同)の医療DX(デジタルトランスフォーメーション)計画が、厚生労働省の「医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」の採択内示を受けたと発表した。補助事業でウエアラブル型の測定機器などを活用し、患者の血圧や脈拍などのバイタル情報の取得、記録、共有をデジタル化する。

今回の事業では、測定データを電子的に取り込み、電子カルテなどの診療情報と連携することで、医療従事者による転記や確認作業の負担を軽減するとともに、患者の状態変化を迅速に把握できる環境を整備する。

重複入力の削減や記録の正確性向上、多職種間の情報共有の円滑化も図る。確認の遅れや重要な情報の見落としを防ぎ、必要な対応につなげる。職員の業務負担を軽減し、患者の観察や説明、ケアに充てる時間を増やすことも目指す。

同院では、医療従事者が確認・入力する情報を組み合わせ、患者の状態悪化の兆候を早期に捉える指標「早期警戒スコア(NEWS)」などを活用する仕組みの構築を進めている。今回、ウエアラブル機器などから取得する情報も活用し、より早期に兆候を把握することにも取り組む。同時に、データの取得から記録、評価、医療従事者への通知、対応内容の記録、事後の振り返りまでを一連の業務として整備する。

京都保健会は今回の取り組みを、法人全体で進める医療DXの先行事例と位置付ける。今後は、整備を進めるコマンドセンターとの段階的な連携も視野に入れる。

コマンドセンターは、患者の状態や病床の利用状況、入退院、院内移動、診療・看護業務など、院内の各部門に分散する情報を集約・可視化し、病院全体の状況把握や意思決定を支援する仕組み。必要な情報を一カ所に集約することで、病院全体で優先的に対応すべき事象を早期に共有できる環境を整える。

さらに、蓄積したデータの分析にAI(人工知能)を活用し、患者の状態変化の兆候や、医療従事者が優先して確認すべき情報を抽出・提示する仕組みを構築する。AIは医師や看護師などの判断を支援する役割を担い、最終的な確認や診療上の判断は医療従事者が行う形で運用する。コマンドセンターやAIの取り組みは、全てが今回の補助事業の対象ではなく、同会が別途進める中長期的な医療DX施策として事業と連携する。

導入では、情報セキュリティーや個人情報保護、職員教育、障害発生時の対応手順などを含む運用体制も整備する。導入後もデータの精度や通知の適切性、現場業務への影響を継続的に検証し、安全性と有効性を確認しながら段階的に対象を広げる。